第3話 戦闘艦と城塞都市
モササウルス(仮)に喰われかけた僕は早々に散策を中断した。
パンドラ女史
全てはインプラントによる情報ネットワークと魔改造された身体能力の賜物だろう。
しかし、僕の中身は平凡な令和のサラリーマン。
ジュラシックなクライシスに心臓バクバクなのです。
「ですから、湖に近付くなと警告したのです」
「うん、そうだったね。 次はもっと早く教えて」
「了解です」
とにかく、あの怪獣を放置する訳にはいかない。
今後、計画通り進めば、ここには住民を誘致して町を建設する予定なのだ。
とはいえ、揚陸艦フォトンの装備は対地・対空がメイン。
対水装備となると対潜哨戒機と水陸両用車くらいだ。
「追加で戦闘艦を何艦か下ろしてもらおうか」
「コルベットをですか?」
戦闘艦コルベット、揚陸艦フォトンに
あれは本来の航宙装備から潜水装備へ換装した特別仕様で、中央大陸沿岸の海に広く展開させている。
同じ仕様の戦闘艦コルベットを湖に降ろしてもらえばいい。
「そう、どうかな?」
「換装作業もそれなりに手間と物資を消費します。 いっそ海から呼び寄せてしまうというのはどうでしょう」
「いや、コルベットに航空装備はないだろ。 一旦、陸に上げるのか?」
戦闘艦コルベットはアニメに登場するような陸・海・空・宇宙 対応可能なマルチ戦艦ではない。
「腹案があります。 少しお時間いただけますか?」
「そういう事なら任せるよ」
という訳で湖周辺は暫く近寄らないとして、内陸の調査が先だろうか。
――――
―――
――
‐
FP-919 に着陸して7日目の朝を迎えた。
森の中に目立った脅威は無いと判断して、今日からは森の外・・空からもチラッと見えた城塞都市を調べる。
もちろん、道なき道を何週間も移動・・なんて面倒なことはしない。
「いざ城塞都市へしゅっぱーつ!」
「ハミングバード、離陸します」
無音ステルス戦闘ヘリ・ハミングバードは、その名の通りプロペラのキャビテーションノイズもモーター機動音も一切しない。
光学迷彩なんかも装備されていて、隠密行動にはもってこいなのだ。
「なんか静か過ぎてフワフワする。 酔いそう」
「吐く前に申告してください。 降ろします」
蹴落としますの間違いではなかろうか。
そんなこんなで移動すること1時間ちょっと、城壁に囲まれた都市が見えてきた。
湖から南南東に300キロちょっとといった
「人口は90万人超、中央大陸全体でも比較的と大きな都市にあたると思います」
「計算 はやっ」
サーモグラフや空気中のアンモニア、二酸化炭素、窒素の濃度など諸々の数量データに加え都市の外観などから推計できるそうな。
「ターゲットは居るかな?」
「統計的にはあってしかるべきかと」
そういう意味でも先日 保護した少女には回復してもらいたいものだ。
――――
―――
――
‐
中央に建つ城に乗り付けようと主張するパンドラをどうにか宥め、僕らは城塞都市の郊外にハミングバードを降ろした。
森に面した城門は閉じていたので、その反対側、街道に面した城門に徒歩で向かう。
城門の前は検問待ちと
「**! **$$z#」
「$&##、***&#」
その最後尾に僕らも並ぶと、周囲から会話が聞こえてくる。
当然、聞き取る事は出来ない。
しかし、暫く雑踏に耳を傾けていると。
「俺の**を#*今日中に**まで##$**」
「おいおい、*#*#は**$だ。 **の朝まで##***」
少しづつ意味が解るようになってくる。
「訪問の目的と滞在予定は?」
「訪問目的は買い物、滞在予定は三日です」
「そっちの女は?」
「私はこの男の妻。 愛妻家なこの男は私にプレゼントを買う」
そして、検問の順番がくる頃には、あら不思議? 僕もパンドラも流暢に現地語を話せるように。
これは異世界アニメでお馴染みの言語理解スキル・・ではなく、聞き取った会話を超性能人工知能パンドラが高速で解析、それを僕にインストールしたのだ。
あと、愛妻家というよりは恐妻家だと思う。
「そいつは良かったな、入市税は一人あたり銀貨2枚だ」
「じゃあ、銀貨4枚ね」
「たしかに、ようこそ王都ドラグーンへ」
僕が払った銀貨はドローンが森の外縁部で回収した硬貨をコピーして造ったイミテーションだ。
まあ、偽物といっても各金属の含有率から微細な傷まで精密に再現したスーパーコピーだが。
「入国審査としてはえらく緩いな」
「地球でも中世はこんなものだったと記録されています」
「つまり、この世界の文明レベルは地球の中世くらいってことか」
「硬貨の鋳造技術から試算したレベルも
なるほどね。
「
「掌握しません」
「・・了解です」
日程が詳細過ぎて怖いわ。
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