第20話

「妖精チャミの特製ティータイム」


旅の途中、アーサーたちは小さな森に腰を下ろして休憩を取ることにした。静かな陽光が木々の間を通り抜け、鳥のさえずりが心地よい午後のひとときだった。そんな中、小さな妖精チャミが軽やかに宙を舞い、アーサーの肩に降り立った。


「アーサー、少し休憩しませんか?旅の疲れが溜まってるみたいですし。」

チャミの優しい声に、アーサーは少し驚きつつも微笑んで頷いた。


「そうだな。お前の言う通り、少し休むのも悪くない。」

アーサーはその場に腰を下ろし、背後の木に体を預けた。


妖精の秘密の道具


「じゃあ、特製の紅茶を淹れてあげますね!」

チャミは嬉しそうに、小さなポーチを取り出した。その中から、手のひらサイズのティーポットやカップ、小さな鍋を次々に取り出す。


「いつも思うけど、よくそんな小さな体で大荷物を持てるよな。」

アーサーが感心したように言うと、チャミは得意げに胸を張った。


「これが妖精のポーチの便利さですよ!どんなものでも入るし、取り出すのも簡単なんです。」

そう言いながら、彼女は小さな鍋に水を注ぎ、火を起こす準備を始めた。


妖精マジックで火を灯す


チャミは両手を軽く広げると、暖かな光を放った。その光が小さな石に触れると、ぽっと優しい炎が灯る。


「この火は妖精専用なんです。森を傷つけないように、必要な分だけ燃えるんですよ。」

チャミの説明に、アーサーは「なるほど」と頷きながら見守った。


紅茶の準備


チャミは小さなスプーンで紅茶の葉を量り始めた。慎重にポットへと葉を入れるその手つきは、驚くほど手際が良い。


「紅茶は葉の量とお湯の温度が大事なんです。これを間違えると美味しくならないんですよ。」

真剣な表情で語るチャミの姿に、アーサーは思わず微笑みを浮かべた。


「お前、本当に紅茶が好きなんだな。」

「はい!紅茶は心を癒してくれるんです。旅の疲れも吹き飛びますよ!」


チャミは沸騰したお湯をポットに注ぎ入れると、特製のハーブを一つまみ加えた。


「このハーブは、森で摘んだ特別なものなんです。癒しの効果があるんですよ。」

彼女の自信に満ちた声に、アーサーは「楽しみだ」と期待を込めて答えた。


ティータイムのひととき


数分後、チャミは小さなカップに紅茶を注ぎ、アーサーに差し出した。

「はい、どうぞ!妖精特製の紅茶です!」


アーサーはカップを手に取り、香りを楽しむように目を閉じてから一口飲んだ。

「……美味しい!本当に香りが良いし、味も絶妙だ。」


彼の感想に、チャミは嬉しそうに笑みを浮かべた。

「でしょ?これでも紅茶にはちょっとしたこだわりがあるんです!」


アーサーはカップを置き、静かに言った。

「ありがとう、チャミ。この紅茶、本当に癒されるよ。こんなひとときがあるからこそ、旅を続けられるんだな。」


穏やかな会話


紅茶を飲みながら、二人はゆっくりと会話を楽しんだ。アーサーは旅の話やこれまでの冒険を語り、チャミは森での生活や妖精の仲間たちの話を披露した。


「チャミ、お前みたいな妖精がどうして俺たちの旅に加わろうと思ったんだ?」

アーサーがふと尋ねると、チャミは少し考えてから答えた。


「私も自分の力で誰かの役に立ちたかったんです。それに……あなたたちといると、世界が広がる気がして楽しいんです。」


その言葉に、アーサーは穏やかな笑みを浮かべた。

「それなら、お前が仲間になってくれて本当に良かったよ。」


旅の再開


穏やかな時間はあっという間に過ぎ、二人は再び旅の準備を始めた。紅茶を飲んで心も体も癒されたアーサーは、どこか軽やかな足取りだった。


「次の休憩でも紅茶を淹れてくれるか?」

「もちろんです!次はもっと特別なハーブを使ってみますね!」


こうして、アーサーとチャミのティータイムは、旅の中の小さな癒しと、仲間としての絆をさらに深めるひとときとなった。

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