どうやら乙女ゲームの攻略対象の従者に転生してしまったらしい
ゆゆころ
見習い編
第1話
雪がシンシンと降り積もる中、クォーツ家に一人の男児が誕生した。
「おぎぁぁああ」
「奥様!元気な男の子ですよ!」
「まぁ、その子がクォーツ家の跡取りね」
赤子を取り上げた産婆が母親に赤子を見せると、汗ばみ疲れ切った男性が穏やかに微笑む。
産婆は手早く生まれたばかりの男の子を産湯で入浴させると、タオルで包み男性の胸に赤子を添える。
「なんて小さな手なのかしら。とても愛らしい。私たちの元にきてくれてありがとう。大事に、大事にあなたを愛するわ」
誕生した息子を見るその表情はとても慈愛に満ちていて優しいものだ。
「アクア!!」
そこへ一人の男性が慌ただしく部屋に入ってきた。
その男は大層甘いマスクの目鼻立ちのしっかりした美丈夫だった。
「旦那様、可愛らしい男の子が生まれましたよ」
「ああ、私たちの子か」
妻に寄り添う我が子を見るなり、強張っていた表情がゆるゆると柔らかくなりだんだんと涙を溢れさせている。
「ありがとう。アクア!よく頑張ったな」
頑張ってくれた愛する妻に感謝を込めて力強く妻の手を握りしめた。
「さあ、旦那様抱いてあげてくださいな」
涙でびちょびちょになっていている旦那様に促す様に見つめれば、腕を震わせながらそっと優しく息子に触れる旦那様。
「ああ、小さく愛らしいな」
息子を抱えながら幸せそうに笑う夫はまたしても涙を流す。
「君の名アンバーだ。アンバー・クォーツ」
まだ目も開けられない息子に父からの最初の贈り物。
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