エッセイ シンプルライフ 調味料

阿賀沢 周子

第1話

 料理が上手だった母は、結婚した後、自分の母親の味を受け継ぎつつ、カレーライス、シチューなど、当時としては新しい料理にも挑戦していた。私は母が作るのを見て、食べて育ったからか、台所に立つのを苦とは思わない。手作りは楽しく興味深いものだと考えている。

 母の時代の味付けは「さしすせそ」。砂糖、塩、酢、醤油(せうゆ)、味噌が基本だ。それぞれの家で味が異なるのは、昆布や煮干し、鰹節かつおぶしなどの乾物と胡椒こしょうや唐辛子、ニンニクといったスパイスの塩梅あんばいの違いだろうか。私が使う調味料は、今も母とほぼ同じだ。


 寒くなると、どの家庭も鍋料理が多くなる。しゃぶしゃぶや寄せ鍋にはポン酢が欠かせない。私は500㏄位を手作りしていたが、最近は、冬に手に入る柑橘かんきつ類を使って一回分ずつ作るようになった。余すことがないし、簡単で作り立てはとてもフルーティだ。

 鍋の材料を買いにスーパーへ行って驚くのはパックやボトルのタレが山ほど並んでいること。鍋の種類毎に一つのプラスチック容器がある。プラスチックは廃棄されると、海や川を汚染し様々な生物に害を与えるマイクロプラスチックとなる。その害が国際問題となって久しいが、売る側はちっとも気にしていないようにみえる。


 先日、北海道ならではの生きの良い真ダチが買えたので、柚子ポン酢を作って「たちポン」にした。季節限定のクリーミーさを堪能。

 手作り調味料はごみが出ない。健康に良い。認知症予防になる(頭と指を使うから)。なおかつ旬のものを何倍もうまくしてくれる。こんなぜいたくが「さしすせそ」に隠れていて毎日のように生まれる。


手造りポン酢 基本の作り方 

(大は大匙のこと)


*醤油 40㏄ 

*酢 大1 

*みりん 大1 

*酒 大1/2 

*削り節 2グラム位

①小鍋に全部入れて煮る(アルコールを飛ばす)

②削り節を網で濾す

③冷めたら柑橘絞り汁(柑橘の種類によって酸味が違うので好みの量)を入れて出来上がり



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

エッセイ シンプルライフ 調味料 阿賀沢 周子 @asoh

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ