還暦介護福祉士どうすりゃいいんだぁ❓

@CHIKARA44

第1話

第二章:試験への挑戦


憲作は、介護福祉士の資格取得を決意し、問題集やDVD講義集を購入した。試験まで半年もある。「余裕だ」と思っていたのも束の間、気づけば試験日前日になっていた。若い頃から何事もギリギリまで手をつけない性格は変わっていない。徹夜で問題集を解くことを決意し、机に向かった。


夜中の2時過ぎ、突然スマホが鳴った。障がい福祉の利用者からのメールだ。「もう死にます」と短く書かれたその内容に、憲作は一瞬凍りついた。試験の準備を優先すべきか迷ったが、「もしも何かあったら」と思い直し、車を飛ばして利用者の元へ向かった。


部屋に到着し、恐る恐る鍵を開けて中を覗くと、利用者は大いびきをかいて寝ていた。胸をなでおろしつつ、「バカヤロー…」と呟きながら部屋を後にする。時計を見ると、すでに明け方だ。そこから試験会場まで車で1時間、朝6時には会場に到着した。車内で問題集を解き続けたが、答え合わせをする暇もないまま試験の時間がやってきた。


試験本番


試験は午前と午後の二部構成。問題用紙を開いた憲作は、途端に目の前が真っ白になる。「何が書いてあるのかさっぱりわからない」。一度は諦めかけ、「また来年だな」と気を抜いた。


その時、隣の席に座る外国人受験者が目に入った。問題を読み解こうと真剣に格闘している姿に、憲作は心を打たれた。「こんなに頑張っている人がいるのに、俺は何を諦めているんだ」と奮い立ち、問題を一つ一つゆっくり解き始めた。


試験終了後、憲作は就職斡旋会社の登録を利用して答え合わせをした。結果は75点、合格ラインを超えている。「還暦で初めてやり通した実感だ」。胸に湧き上がる達成感とともに、憲作は新たな一歩を踏み出した。

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