セックスをしないと出られない部屋 ※閲覧注意

市川タケハル

セックスをしないと出られない部屋

「ここは……どこだ?」

 目が覚めると、窓も扉もない部屋にいた。


 辺りを見渡すと、壁にでかでかと「ここはセックスをしないと出られない部屋です」と張り紙がしてある。


 ははーん、そうか。これが、セックスをしないと出られない部屋……。ウェブ小説で読んだことがあるぞ。


 そうか、俺も可愛い女の子とセックスができるのか!

 期待に胸と股間を膨らませる。


 ……あれ。でも……?

 俺は再び部屋をキョロキョロと見回す。


 がいない……。

 肝心の相手がいなけりゃ、セックスができないじゃないか。


「あれ? おかしいなぁ……」

 そう独り言を言って、部屋の中を探し回る。

 お相手は、どこかに隠れているのかも知れない。


 そうこうしていると、背後に何者かの気配を感じた。

 可愛い女の子がっ!? そう思って振り返る。






「…………………………ッッッッッ!!!!!」

 声にならない悲鳴が出た。そこにいたのは、人間ほどの大きさがあるゴキブリだった。


ゴキブリそいつは、ヌメヌメと黒光する6本足の肢体でこちらを見つめている。

なんだって、こんなとこにこんなヤツがいるだよっ!?


人間並の大きさのゴキブリを目の前にした驚きと恐怖は、すぐさま怒りへと変わる。

セックスをしないと出られない部屋に、こんな大きなゴキブリがいるだなんてどうなってるんだ!?


そう思って、目の前のゴキブリを睨む。

そして、ふと、壁に貼られた【セックスをしないと出られない部屋です】の張り紙が再び目に入る。


…………。

妙に冷静になる自分がいる。


目の前にいる人間並のゴキブリ。

そして【セックスをしないと出られない部屋】……。


…………。

………………。

……………………。


おい、まさか、そんな……。

嘘だろ……。


つまり、その、なんだ……。


俺のセックス相手ってのは……つまり……。

今目の前にいるゴキブリこいつってことなのか…………?


なんてこった……。

俺は……ゴキブリとセックスをしないとこの部屋から出られないってことなのか……。

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セックスをしないと出られない部屋 ※閲覧注意 市川タケハル @Takeharu666

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