多額の借金の返済のため、俺は命懸けの闇バイトをする。
さい
第0話 不幸な俺
「銀次」
昼休みの教室、クラスメイトの高橋が声をかけてきた。
「なんだよ?」
「五百円やるからここでシコれ」
俺こと静波銀次はニヤニヤしだし、教室には半数の生徒がいるというのに、ベルトを外してパンツごとズボンをずらした。
男子の笑い声、女子の悲鳴が聞こえる。
関係ねえ。
五百円もらえるんだ。
スマホで俺を取り出す高橋。
「はは、こいつ、本当におもしれえ!!」
俺の人生は本当にゴミみてえだ。
生きる目的は借金返済のため。
飯は毎日、白米だけ。
神様、俺の前世はヒトラーですか?
じゃなきゃ、割に合わねえよ。
「ああ、そろそろイク……」
俺は廊下に向かって射した。
男子もまた女子同様、悲鳴をあげ出した。
「まじかよこいつ、ははは、腹いてぇ」
「せせせ、先生!! あいつです!!」
と、そこで一人の生徒が男性教師を呼んできた。
俺の姿を見るや否や、顔を真っ青にする男性教師。
すぐさま、俺は取り押さえられるのであった。
○
半年前、親父が死んだ。
昔から親父はギャンブルが大好きな人間だった。
負けては借金、負けては借金。
気づけば、借金は9000万まで膨れ上がっていた。
親父にとんでもない借金があることに気づいたのは、3年前のことだった。
母さんは身体を売り、2年前に自害した。
親父もまた借金だけを残して、朝、リビングで首を吊って死んでいた。
家に帰ると、俺は自室の布団に倒れ込んだ。
家といっても、ボロボロすぎて台風が来れば跡形もなく潰れてしまうだろう。
二週間の謹慎処分。
これが俺にかけられた罰だった。
二週間を犠牲にして五百円……。
時給換算するとブラックすぎじゃん。
「はあ……これからどうしよっかなあ」
俺の人生はすでに死んだと同様。
生きているのに死んでいるという意味のわからない状況に俺はどうすればいいのかわからない。
「いっそのこと死ぬか? 死んで親父をぶん殴ろうかなあ」
と、その時だった。
どんどんどんどん!!
玄関を叩く音がする。
すぐにそれが取り立てと予想した。
当然出るはずがない。
どんどんどんどん!!
ああ、うるせえなあ。
全く、出るはずねえじゃねえかよ。
どんどんどんどん!!
うるさいうるさい。
どんどんどんどん!!
どんどんと、叩く音は強くなっていくばかり。
どんどんどんどん!!
どんどんどんどん!!
どんどんどんどん!!
「あ〜〜〜!!」
俺は立ち上がり、手に包丁を持って玄関を開けた。
「うるせえよ!! ぶっ殺すぞ!!」
目の前に立っていたのはスーツ姿の男性だった。
顔は無表情で、本当に人間なのか疑ってしまいそうだ。
「あらあら、怖い」
「誰だよお前?」
いつもくる取り立てではない。
こいつ、何者だ?
「私は……」
ポケットから一枚の名刺を取り出して、俺に渡す。
「こういう者です」
なになに?
木下士郎、28歳……。
闇バイト案内人……。
木下の顔を見た。
「静波銀次さんは闇バイトをご存知ですか?」
「さあね、知らね」
「闇バイトとは、犯罪⾏為をすることによって報酬を受け取るアルバイトです……」
「じゃあ、俺はこれから犯罪行為をするってことか」
「いえ、私たち闇バイトは普通の闇バイトと違い、犯罪行為ではありません」
へえ、それは助かるな。
「つーか、なんで俺が金ねえこと知ってんだよ?」
「全てお見通しなので。話に戻しましょう、犯罪行為ではありませんが、命を懸けるバイトとなっております」
「金は? 金はどうなんだよ?」
「内容によって変わってきますが、最低10万は保証しております」
じゅっ、十万!?
命懸けるだけで最低十万もくれるのかよ!!
「やるやるやるやる、俺は闇バイトをやる!!」
「でしたら、契約書を渡しますので印鑑の方お願いします」
「ふぁ〜い!!」
俺は詳細を見ずにすぐさまサインをした。
「はい、ありがとうございます。では、今夜の20時に送迎の車が来ますので、そちらに乗ってください。こちらをどうぞ」
と、一枚のクレカを渡す木下。
「達成時の報酬はこちらに振り込まれますので。パスワードは4545です」
「へぇ〜い」
これは、多額の借金を抱えた俺が闇バイトを通じて返済する物語!!
多額の借金の返済のため、俺は命懸けの闇バイトをする。 さい @Sai31
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