第4話「リグルディアお嬢様、思い出す」
前書き
どうもシロニです。
そういえばギデオンとトーマスの2人は庭園で色々と騒がしい食事会をしていたらしいですよ、その話は別の機会にて。
「前回のあらすじ!」
前回を見なさい。
◇ ◇ ◇
あたしは気まずくてルゥから目を離す。
「...っ!」
「あっ、ディアちゃん...いや、やっぱりリグルディアさん...うぅ...ごめんなさい、この呼び方はやっぱり嫌ですよね...」
「別に...やっぱりリグルディアのままでお願い...」
そしてあたしたちはそのままお互いに何も言葉を発さずそのまま授業を受けた、横目で何度もチラチラとルゥのことを見たけど、ルゥのやつ、あたしの方を全く見ようとしない、それで結局一度も話すことなく今日の授業を全部受け終えたんだけど。
「...」
「...」
あたしたちはそれぞれ授業終わりに先生から放課後に用があると言われて教室にそのまま残ったんだけど、お互い反対側に離れた場所に座ってるし、気まずくて見ようともしないからなかなか空気が中々キツイわ。
「なんなんですかこの空気!さてはルゥさん貴方!過去にリグルディアお嬢様が記憶を自ら封印するほど辛いことでもしやがったんですか!?お話しやがれ!私が全て聞いた後に血祭りにあげてやりますよコンプレックス!」
扉から勢いよくソルがもう1人何やら物騒なことを叫びながら入ってきたんだけど!?え、じゃあ今あたしの隣にいるこいつはなんなの!?
「あ、そのお顔は「何故私がもう1人!?」と思っていますねお嬢様〜?はい、分身魔術でございます♡」
「分身Aでございます♡」
「ちょっとやめてよ!変態が2人に増えるとか嫌なんだけど!?」
「ご安心くださいお嬢様、貴方の変態はこの本体であるわたくしのみで十分にございます、この分身は用が済んだので消させていただきます♡」
ソルがニッコリしながら手を叩くと分身は光の粒子になってソルの身体に吸収されていった、なんなのよあいつ分身魔術も使えんの!?
「そもそも変態はいらないってのよ...」
「んっ♡」
「それで?先生に化けてまであたしとルゥを教室に2人っきりにしておいて、何がしたいのよ」
「そうですねぇ...私は単純にお嬢様とルゥ氏のご関係について詳しくお聞かせ願いたく思っております、リグルディアお嬢様の日々の安寧を守るのがこの私の勤めでございますが故、お嬢様がそのようなお顔で悩んでおられるのは心苦しいのでございます...」
今思えばソルがあたしのところに来たのってルゥとの出来事の後だったわね...それなら知らないのは仕方ないわ、あたしも思い出さないように。
「あと興味本位でございます」
「おいこの変態」
◇ ◇ ◇
あれは今から6年前のこと、闇属性、黒髪に黒い瞳に産まれたあたしはまぁ、周りから好かれていたとは言えなかった、それにあたしが産まれてからお父様と母様はもっと仲が悪くなって毎日あたしのことで口論してたし、端的に言うともう居たくなくて警備の隙を見て家出したのよね。
「うぇ〜ん...!!お父様とお母様のバカー!あたしもうあんなところは嫌!」
7歳のあたしは真夜中に屋敷を飛び出して、もうとにかく屋敷から離れたかったからろくに前も見ないで向こう見ずにただ走ってた、さらに見つけて欲しくなかったから森の中に逃げ込んだ...魔物だっているのに、今考えたら我ながらとんでもないことをしたと思ってる。
「うぅ〜ここどこ〜」
案の定、真夜中の森の中で迷子になったあたしは泣きじゃくりながら森の出口を探して暗い森の中を歩いてった、夜の森はほんとに暗くて不気味で、飛び出したことを軽く後悔したけど今更戻るのも本当に嫌だった。
「ひっ!?なに!?誰なの!?魔物ならあたしがボッコボコにしてやるからね!?」
すると草陰から物音がして、あたしは涙をこらえながらも最大限警戒をした、そして草むらからあっちもあたしのことをすごく怖がっていたルゥが命乞いしながら現れたのよ。
「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!顔がないおばけぇぇぇぇ!!」
「ヒャッ!?こ、怖がらせてごめん!でもちょっと1回落ち着いてよ!僕は敵じゃないから!だからそのぶっとい黒い剣こっちに向けないで!?」
あとはもう色々ギャーギャー言い合って落ち着くまで大変だったわ。
◇ ◇ ◇
「うぅ...ぐすっ...」
「えっと...泣かないで...僕が居るからね、出口に案内するよ、僕ここの森に詳しいんだ」
あたしとルゥは手を繋ぎあって、暗い森から出るために2人で歩いた、ルゥは顔が見られないようにフードを被ってたけど、その猫獣人並の聴覚で警戒してくれていたし、よく考えたらその森は大した魔物も生息していないから危険な目に会うことはなかったわね。
そのおかげであたしは少し安心して泣き止むことが出来たの、助けてくれる誰かがいるってやっぱりいいわね。
「あの...ありがとう...」
「あ、どうもいたしまして...」
「ねぇねぇ、貴方お名前は?あたしはリグルディア!リグルディア・ミッツェロス・ディアーナよ!今7歳!」
「え!?貴族様!?それに年上...」
「え、貴方年下なの...?」
「うん、そうだよ」
その瞬間あたしは年下に泣きじゃくってる姿を晒して、今も甘えていることに途端に恥ずかしくなった。
「あ、あのね!さっきのはたまたまだから!たまたま泣いちゃってただけでいつもはあたしはしっかりとしたお姉さんなのよ!だからからかったりしたら許さないからね!?」
「...フフッ」
「な、なによぉ...」
「ごめんごめん、君が落ち着いてくれたことに安心して、それに貴族の女の子ってもっとこう...お淑やかというか、大人みたいな感じって怖いイメージだったからさ」
「は?なにそれあたしが女っぽくないって言ってるの?」
「え、あ、いや!?違う違う!ごめん言い方を間違えた!」
「こんのぉ〜!!」
「いわぁいいわぁい!ごめんなふぁい!そんなに口ひっはらないへ!」
◇ ◇ ◇
「いてて...ほんとにごめんってば〜そんなに拗ねないでよ、ほら、手を繋ご?案内出来ないよ」
「いや...」
「うーん...困ったなぁ...」
周りは先がよく見えないほど薄暗い森、ナイトバードの鳴き声も聞こえてきて不気味さに拍車がかかる。
「...ていうか貴方、貴方もよ、あたしはその...家出だけど、貴方はなんでこの森に居るのよ!それを言わないと手は握らないんだから!」
「え、それは...」
「そんなにフードを深く被って顔なんて隠して!怪しいわ!」
「こ、これは...その...僕、コンプレックスなんだ...」
「コンプレックス?」
「うん...だから人に顔を見られるのがその、怖くて...」
「だからそんなに必死に顔を隠してるってわけ?」
「うん...だから僕明るい時間は家に引きこもって、夜はこうして森とかで1人になってるんだ」
あたしも黒髪や属性がコンプレックスだからルゥに親近感と同情が湧いて、それに年上としてのプライドから拗ねてるのが恥ずかしくなって観念した。
「...その、ごめん、貴方にもそんな事情があったなんて...」
「いいよ、僕は嫌われ者だから...」
「そんな...貴方優しいじゃない、こんなあたしに優しくしてくれて、貴方は素敵な人よ」
「...ありがとうリグルディアさん」
「ディアでいいわ!お父様にそう呼ばれてるの!貴方もぜひそう呼んでちょうだい!」
「うん、ありがとう、ディア。僕の名前はルゥって言うんだ」
「まぁ!響きが可愛くて素敵だわ!」
「そう?ありがとう、言うのが遅れたけど僕の名前って可愛いんだ、それに顔も、いわゆる美少年ってやつ、ほら(顔を見せる)」
よく思い出してみれば、ルゥって廊下ではあんなにビクビクしてたけど、本当は結構お調子者で明るい性格なのよね、あと耳がコンプレックスなくせに顔に自信があるって、めんどくさいナルシスト...
「うっ...ごめんなさい...」
「えへへっじゃあまた手を繋いでくれる?」
「うん...ねぇ、1ついいかしら?」
「ん...?どうしたの?」
「さっき顔がコンプレックスだって言ってたけど、そんなに自分を卑下しなくていいと思うの、だって貴方は素敵な人だし、顔も別に変じゃないわ」
「え?あぁ...ありがとう...?」
「あたしだってこの黒髪についてよく心ないことも言われるけど、お父様は素敵な髪だって言ってくれた、だからね、あたしも自分の容姿を嫌わないことにした!だからあたしからもお父様みたいに貴方に言ってあげる!貴方は素敵な人よ!」
「え?あ、ありがとう...?」
◇ ◇ ◇
「え?ちょっとお待ちくださいお嬢様、ルゥさんのコンプレックスって、あっちのコンプレックスではなく、種族の方のコンプレックスでは?」
「うんうん、あの時は僕もディアちゃんが勘違いしてるなって思ってたんだけど、口に出したらまた拗ねちゃうかなって思って言わなかったんだ」
うるさいわね...あたしだって今話している途中でやっと気づいて恥ずかしいんだからそこはスルーしときなさいよ!
「なによ」
「お嬢様は昔からお嬢様だったのですねぇ〜」
「うんうん、僕も今はディアちゃん何も変わってないな〜って安心してる」
はぁ...こいつら...
◇ ◇ ◇
そして森の出口について、あたしたちは森から出て屋敷の近くに来た。
「あっちゃ〜?お屋敷すごいことになってるねぇー?」
屋敷は真夜中だというのに屋敷中の明かりの全てがついていて、門番や見張りの衛兵たち全てがあたしを探しててんやわんやしていた。
「う...帰りたくない...」
「帰らなきゃダメだよ、きっとお父さんも心配してるよ?優しい人なんでしょ?」
「そうだけどぉ...」
「ディアちゃん、帰らなきゃダメだよ、それに多分ディアちゃんサバイバル能力無いからちゃんと文明の中に居た方がいいと思うよ」
「ちょっとー!?それどういう意味!?」
そしてあたしはしばらく呼吸を整えて、ようやく決心して歩き出す、それで別れ際に振り向いて。
「ねぇ、また会えるよね?」
「うん、僕屋敷の近くの村に住んでるから、今度は明るい時間帯に会おう!」
「...っ、うん!またね!」
そしてあたしは屋敷に帰ってお父様に抱きしめられて、翌日トラウマになるほどしこたま叱られた...
◇ ◇ ◇
「って、感じよ」
「えぇ〜♡なんですかお嬢様!なんなんですかそのお二人の出会いは!なんなんですかそのドキドキするようなお話は!」
ソルは机の上に腕を立ててその手の上に顎を乗せてキャピキャピしている、なんなのこいつ、今日教室でトーマス様たちにキャッキャしてた女子?
「トーマス氏たち相手に妄想してニヤニヤしてたお嬢様相手に言われたくないです」
「あたしの心を読むな!?」
「それにしてもなんなんですかそのお話〜♡ラブコメとか作れるんじゃないですかぁ〜?」
「はっ!?あ、あんた...!き、急に何言ってんのよ!?」
何急に変なこと言ってんのよこいつ!?
「え、あっ、ちょっとルゥ!今のは忘れ...ちょっと!照れないでよ!?顔を赤くしてないで!ちょ、そんな顔で見るな!?」
あぁもう〜!なんか変な空気出来たじゃない!
「えぇ〜?私はただそれを元に創作出来るのではないかと言っただけでございますよぉ〜?」
こいつ...!絶対分かってて言ってる...!
「ところで、今のお話だけだとお2人が疎遠になる要素がありませんよね?お嬢様が己の記憶を封印するほどのものが何もありませんし」
「...そうね、あの後、あたしたちはよく2人で会っていたわ、毎日仲良しだった、でもある時ルゥが遠くに行くことが決まって...」
「うん...僕がいた村の人たちは僕のことをよく知ってるから、僕がコンプレックスでも優しくしてくれたけど、村の外から来た人たちにはよく色々とされてきたんだ...だから「賢者の里」っていうところに行くことになって...」
「そうそう、それでお互いに手紙を送り会おうって約束して、手紙を送ったけど、今日になるまであたしのところに手紙が来ることはなかったわ」
「...えぇ?お嬢様、それって一体どういう...」
「そのままの意味よ、それであたしはルゥに何かあったんじゃないかって思って、お父様たちに頼んで調べてもらったけど、何もなかった」
「ルゥが死んだとか、理由があって手紙が送れないとかではなく「ただ送られていないだけ」って知って...友達だと信じてたルゥに絶望したあたしは...自分で魔術で記憶を封印した」
「えぇ!?なにそれ!そういう感じだったの!?」
「おや、ルゥ氏、その反応はお嬢様側と何か誤解があるとお見受けしますが...」
そうだと思った、今日1日ルゥと再開して、こうして一緒に話したりした中で、ルゥがあたしを弄んでいたとは思えない、やっぱり何か理由があって手紙が届かなかったんだわ。
「そうですよ!賢者の里に着いて、ディアちゃんからの手紙を渡されて僕は何度も読んだし、その後ちゃんと手紙も送ったんです...でも...送られてきた手紙が...」
「お嬢様から送られた手紙に何か...?」
「あ!いや、違うんです!確かに送り主の名前はディアちゃんのものでしたけど、今考えても...どうしても色々とおかしくて」
ちょっと、なによそれ?あたしは最初の一通以外手紙なんて送ってないわよ!?
「はぁ!?なによそれ!ちょっとルゥ!あたしにその話詳しく聞かせて!それに手紙はまだ持ってる!?捨ててるかもだけど!」
「あ、うん!手紙は家に保管してあるよ!最初に読ん後賢者のおばあちゃんたちに取られちゃって、なんか手紙から変な魔力を感じるとか...それでおばあちゃんたちに手紙を送るのを止めるように言われちゃって...」
「確かにお嬢様の魔力は珍しい闇属性ですけれどもねぇ〜」
「はぁ!?あたしの魔力が変とか喧嘩売ってんの!?その賢者とやら!」
「おやお嬢様?カチコミでも行きますか?お供致します♡」
手紙が来なかったのはそのババアどものせいだったわけ!?マジで星に還すわよ!?
「え!?違う!違うよ!確かに手紙は送るなって言われたけど、それは里を仲介せずにって意味で、それからも僕は何度も手紙を送ったんだ...でも手紙が来ることはなくて、それでおばあちゃんたちからもう諦めるように言われたんだ」
はっ?はぁ...?なに?さっきからなんなの?わけが分からないわよ...ルゥから手紙は送られてたの?じゃあなんであたしのところには一通も来なかったのよ!?
「だから僕ディアちゃんに嫌われてたんじゃないかって思ってたけど...やっぱり僕はディアちゃんに嫌われてなかったんだって分かって安心した!」
「当たり前じゃない...」
嫌うわけないわよ、貴方はあたしの大事な幼なじみなんだから...
「あの〜?お2人とも?イチャイチャするのは後にしてください、ルゥさんのお話で気になることがあります」
「し...してないわよ!?」
「ソルさん、気になることって?」
「手紙の文が変だったことと、魔力のお話です、茶化してしまいましたが、それに違和感を感じまして」
あ、言われてみればそうだったわ、確かに文が変だって言ってたわね。
「うん、魔力の方はおばあちゃんたちは確か「不吉なものを感じるって」言ってた!それに文は...えっと、何か書けるもの...」
「こちらに♡」
ソルが急にどこかから神とペンを取り出した、あんたそれどこにしまってたの、というか今どこから取り出した?
「あ、ありがとうございます!」
ちょっとルゥ、少しは疑問に感じなさいよ!
「ちょっと待っててねぇ〜?えっと...」
ルゥは何やら記憶を頼りに送られた手紙の文を再現しだした、一見罵倒ともう手紙を送ってくるなと言う内容だが、所々文字が歪で文字の大きさが違ったり歪んでいたりする。
「確かこんな感じだった、内容は所々忘れてて...だってずっと前だし、許してよ」
「なに...これ...?気持ち悪いんだけど...」
「...これはこれは」
あたしはそれを見て何か不気味なものを感じた、今はよく分からないが...とにかくただならない悪意があることだけは分かる。
「ふむ...ルゥ氏、これ、少しの間お借りしても?」
「あ、はい!もちろんいいですよソルさん!」
ソルは紙を折ってペンと一緒にポケットに入れた、そしてあたしたちはその日は解散して帰ることにしたわ。
「僕、寮住まいだから」
「あら、そうなの」
「うん、賢者の里は遠いから、じゃあねディアちゃん!また明日!」
「...うん、また明日!」
そしてあたしはルゥを見送った。
「おやおや...フフッ」
ソルがあたしの顔を見てニヤニヤしてる。
「なによ」
「いえいえ...お嬢様のお顔がですね、とても素晴らしい表情をしておられたので」
「...変態」
「褒め言葉です♡」
「あと、最近のお嬢様はどこか以前よりスッキリしたお顔をされているのでつい...感慨深く...」
ソル...貴方そんな穏やかな顔出来るのね、初めて見たわ。
「なによ...」
「以前のお嬢様はジメジメして暗く、さらにエリーデ氏を恋敵と憎み日々暗躍して...それが今はこんなに幸せそうに...!」
な、なによ...確かにあたしはエリーデに色々と酷いこと企んでたけど...今は反省して...
「そぉ〜れがこんなに幸せそうに微笑みなられて...!このお嬢様の忠実なる下僕ソル!大変感動しております!!」
ちょっと、急に泣き出さないでよ!?
「お〜いおいおいおい!うぉ〜いおいおいおいおい!お嬢様が...!とても!幸せそうに!笑って!ワダグジモトテモシアワゼにゴザイマズゥゥゥ!!」
ちょっと!?急になんなのよこいつ!泣き崩れないでってば!?頭おかしいんじゃないの!?ちょっと!?
「ちょっとソル!そ...そんなに泣かないでったら!ちょっと!やだぁ!鼻水が汚いわよ!もう!そんなにあたしのことを想ってくれてたのはその...あたしも嬉しいけど!困るったら...!」
「じゃあ止めます(スンッ)」
は?
「は?」
「いやぁ〜いいものを見せてもらいましたぁ〜!お嬢様の滅多に見れない困り顔!滅多に見せないデレ!私大・満・足でございます〜!」
こいつ...!!
「ソル...あっち向いてくれない?」
「おやぁ?いかがなさいましたかお嬢様?ふむ、お嬢様〜何もありませ」
あたしはありったけの魔力を足に込めて。
「しぃぃぃぃぃねぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!」
「んっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」
その日廊下にとても汚い声が響いた。
◇ ◇ ◇
ここはダイアモンド王国、その王城のとある部屋、とある青年が椅子に腰掛けて日記を書いている。
「...」
そこに何者かが扉をノックをしてくる。
「入れ、セバス」
「失礼いたします、坊っちゃま」
セバスと呼ばれた老人執事は部屋に入ると一礼をして、青年に何やら話しかける。
「坊っちゃま、少しお耳に入れたいお話がございます」
「なんだ、申せ」
「どうやら近頃賢者の里から賢者が1人マーリン魔術学校に忍んで来訪してくるとの噂が...」
するとその青年は日記を書くその手を止めて。
「噂?」
「はい、しかし私の調査の結果、可能性は高く、明日にでも来訪してくることかと...」
「ッチ、もし賢者に計画に勘づかれたら面倒だな...セバス、命令だ、そのことについて調査をしろ、来訪してくる賢者の詳細やその理由についてもだ」
「はい、坊っちゃまの仰せの通りに」
「明日からは少し活動を控えるぞ」
そして夜は今日も更けていく。
To Be Continued
後書き
応援、感想ありがとうございます!
・「ナイトバード」森に生息する梟のような魔物、人に対して害はないが、夜の森で巣の近くや繁殖期の縄張りから敵や人間を追い払う為に不気味な鳴き声で鳴く、見た目は梟のようだがよく見たら化け物なためエグい。
・「賢者の里」世界の果て、断崖絶壁の崖に囲まれたとある山にあるという村、その外界から遮断された謎多き村に住む者は全員賢者と呼ばれる偉大な魔術師で、断崖絶壁に囲まれていることに加えて環境が過酷であるため人が訪れることは滅多になく村の情報に乏しい。
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