第8話 父さんとカラオケ

 日曜。お父さんは、「うちの同僚は家族の親睦を深めるため月一でカラオケに行く」と言い出した。そしてまた影響されて家族一同を集め、カラオケに来た。


 兄さんはカラオケに興味がないから、鞄を枕に寝ている。

 お母さんはやはり一曲選ぶにもずいぶん悩んでいる。

 私は好き勝手にポチポチ入れる。


 お父さんはというと――。


「おい、この機械壊れてるぞ」


「私に文句言われてもね」


 お父さんは機械音痴で、去年買ったガラホをまだ使いこなせていない。


「乾杯も歌いたいのに。何とかしろ」


 仕方なくリモコンを受け取る。画面を見て壊れてないことは理解した。


 ――歌手名に津軽海峡入れたって出るわきゃないよ。

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