『零感看護師 友絵さん』SS集

金星タヌキ

第1話 Dr.如月のインターン日誌



4月

 ボクの名前は如月きさらぎ 智也ともや

 今月から星都大学附属病院の小児科病棟で研修を受けてる医者のタマゴだ。

 いわゆる研修医インターンっていうヤツだ。


 漫画やドラマにもなったから 知ってるかもしれないけどインターンっていうのは けっこう悲惨なんだ。

 給料が低い。

 労働時間が長い。

 もちろん学ぶべき膨大な事柄があるから しっかり勉強もしなくちゃいけない。

 普通にインターンやってても キビシイのに ボクは職場の人間関係にも ストレスを抱えていた。


 植島うえしま 友絵ともえチーフ。


 小児科病棟の主任看護師。

 カッチリ纏めた髪がトレードマーク……時々 眼鏡。

 たぶん10歳くらい歳上の いかにもバリキャリっていう感じの女性。

 めちゃくちゃ仕事にキビシイ人で 言い方もキツいし ちょっとしたミスでも 論理的に詰められるから 反論もできないし 一緒に組んで仕事するのが ものすごく緊張する。

 なのに担当教授せんせいから 研究チームの一員に指名されてて けっこういろんな場面で一緒に仕事するハメに……。


 悪い人じゃないのは分かるし 小児科の看護師さんだから 子供と接する時とか 素敵な笑顔で すごくチャーミングなんだけど 大人と接する時は 無表情っていうか 仏頂面っていうか……それか ピリピリした表情してるか。

 クールビューティーって言えば聞こえはいいんだけど クールって言うよりはコールドな感じの人。……いや。言い過ぎかな。別に無表情って程のことはなくて 自分から冗談言わないけど 聞いたら笑ってるし 飲み会にも参加してる……愛想悪いくらい。

 単純に ボクが苦手なタイプっていうだけのことなのかも。正直 ボクのことも気に掛けててくれてて 書類の提出期限のこととか 早めに連絡してくれたり ちゃんと指導してくれる……でも 言い方がキツイんだよ。

 


6月 

 そんな植島チーフの変化に気づいたのは 小児科に配属になって2ヶ月目くらいの時だった。


 ある日突然 すごく綺麗な人だなって思った。


 PCに向かって書類作ってる横顔が 穏やかで女性的で綺麗だって思った。

 なんか10歳も歳上じゃなくて もしかしたら 2つ3つ上くらいなのかもって。それとなく他の同僚に聞いたら31歳らしい……5歳 歳上だけど そこまで上でも無かった。

 でも 次とその次 一緒に働いた時は やっぱりキビシイ感じ。その次の次 会った時は また ときめいた。

 

 ……そう。時々 とっても女っぽい表情してる日があるんだ。


 はじめは よく分かって無かったけど どうやら お化粧してるらしい。

 たぶん 彼氏さんとのデートの日とかは お化粧してるのかなって予想した。

 植島チーフは 本当にデキる人だから 仕事モードと恋人モード使い分けてるのかなって思ったり。

 正直 羨ましいっていうか 妬ましいっていうか。

 

 まあ でも 勉強だけが取り柄で デブで鈍くさい ボクは女の子と付き合ったことなんて無い……26歳で童貞。

 そんなボクが 植島チーフを振り向かせるなんて 不可能事。

 さっさと諦めた方がいい……いつものことだ。

 そう解ってるハズなのに 目の端で追っちゃったり 帰る時間 微妙に合わせてみたり。


 知れば知るほど カッコいい女性ひと

 その日の仕事は その日中に終わらせて 颯爽と帰っていく。

 ミラ・ヴァッティっていうイタリア車で通勤……映画『トリエスティーニ』で主人公が運転する超お洒落な小型車。

 自宅は 独り暮らしなのに 一戸建て。

 休みの日は何してるんですか?っていう後輩看護師の質問に『論文 読んだりしてる。あとは本 読んでるかな……主に恋愛モノ』って答えてた。英語もペラペラだし 海外小説とか読んでるんだろうな……。




8月 

 そんなある日 ボクはトンでもないミスをやらかした。

 研究論文の締め切りも近いっていうのに サーバーにアクセスできなくなったんだ。

 もともとは ボクがいい加減なことしてたのが原因。

 それに 不幸な事故や 行き違いが重なって 気がついた時には かなりヤバい状態だった。

 教授せんせいに報告するのが 本当なんだけど そんなことしたら 確実に将来に響く。

 ダメもとで 植島チーフに電話した。


 

 もちろん 滅茶苦茶に叱られた。

 

 

「『言いそびれた』とか そんなの言い訳にも 何にもなって無いですよねっ? 常に 報告・連絡・相談ですよねっ!? できてないと チーム全体が 迷惑被るんですからねっ!」

 

  

 でも 親身になって解決法を考えててくれて 結局 植島チーフの家で論文のリカバリーと修正させてもらえることになった……植島チーフ お休みの日なのに。

 

 お邪魔したご自宅は ほとんどモノの無いミニマルライフな感じ。

 植島チーフらしい お洒落な暮らしの少し小さめの一戸建て。

 そこのリビングでチーフのPC借りて作業した。

 もっとガミガミ叱られるのかなって思ってたけど『私 休みだから』っていう感じで 落ち着いた対応してもらえて 大人だなって思ったし やっぱり カッコいいって思った。

 

 それと もうひとつ……逆のことも思った。


 ボクが 作業してる間 植島チーフはソファーでコミックを読んでたんだけど そのコミックが『恋に胸キュン』。

 『休日に〈恋愛モノ〉読んでる』って ボクの下の妹が読んでるような甘々の少女マンガ? 中学生かよ?って 思わず心の中でツッコむ。

 

 ……正直 萌えた。

 

 普段のクールでバリキャリな姿との スゴいギャップ。

 いつも纏めた髪を下ろして 後ろで軽く束ねてるのも新鮮で ドキッとしたし……気づいてなかったけど ちょっと茶髪にしてるんだな。


 で お昼がくると ササッと料理して スパゲッティを茹でてくれた……サラダ付きで。

 迷惑しか掛けてないのに お昼ご飯出してくれるとか 優し過ぎるだろ。

 それも 恩着せがましい感じとか 全然なくて 自然な感じで ボクの分も用意してくれた。

 しかも ソースはレトルトじゃなくて 手作り。

 なんかもう 本当に憧れた。


 食事のお礼言う時に 勇気を出して『美人ですね』って言ってみたけど 笑顔でサラっと流された。

 ……きっと 言われ慣れてるんだろうな。

 食事の後は 少し雑談もして ボクのことも少し質問してくれた……まあ 世間話程度だけど。

 話の流れで『彼氏さん いるんですか?』って聞いたら『恋人は いない』っていう答え。

 身の程知らずにも 心臓がドキッした。

 ……いや もう 本当に身の程知らずなんだけど。



9月 

 その日 帰った後も ボクの身の程知らずな妄想は 膨らみ続け 教授せんせいの論文が 仕上がった後で 植島チーフを食事に誘った。

 一世一代の大冒険。

 紐無しバンジーするくらいの気持ちで誘った。

 一応 お家で仕事させてもらったお詫びって名目にした。


 まさかの返事は オッケー。

 パスタが食べたいってことだったから 〈Hotel Galaxy Luminous〉の1階のイタリアンレストランを予約した。

 三ツ星ホテルのイタリアンなら 絶対美味しいって思ったんだ。


 ……メールで予約したこと伝えてから蒼褪あおざめた。

 〈ホテル〉で食事とか 下心あるって思われちゃうんじゃあ?って。

『予約ありがとう。楽しみにしてる』って返信くるまで ガクガク震えてた。

 そんな感じで 当日まで 滅茶苦茶 情緒不安定だった。

 ……どーしようもなくなって 実家の妹達に相談してみたり。

 そんなこと相談できる女友達なんていないんだ……ボクには。



 当日の夕方6時に ホテルのロビーで待ち合わせた。

 回転ドアから 入って来た植島チーフを見て 心臓が破裂しそうになった。

 いつもの カジュアルなジーンズ姿じゃなかった。

 

 清楚な白いワンピース。

 胸元に光る金色のネックレス。

 初めて見る ミドルヘアの下ろし髪。 

 紅い口紅が 本当に大人っぽくって綺麗だった。

 ボクにも分かるくらい しっかりメイクアップしてて 煌めいて見えた。

 

 ボクのために わざわざオシャレして来てくれたんだ。 

 女の人と交際した経験の無いボクは 完全に舞い上がった。

 食事中 ペラペラ ペラペラと学生時代のこととか チーフの乗ってるミラ・ヴァッティのこととか いっぱい喋ってしまった。

 ……妹達からは『自分の話ばっかりして 女の人の話聞けない男はフラれる』ってアドバイスされてたのに。

 でも チーフは 笑顔で聞いてくれて 時々 質問してくれたりして 会話を盛り上げてくれた。

 ワインも お好きみたいで ボクが選んだ『バローネ・ビアンコ』っていうワインも『凄く美味しいね』って喜んでくれた。


 食事の後 もうちょっと飲みたいって話になってホテル内のワインバーへ。

 ワイン片手にニコニコしてる植島チーフは 綺麗でお洒落で ちょっと酔った視線も 本当に魅力的で……。

 それに ボクも 何杯もワイン飲んで 酔ってた。

 だから 4杯目のワインを飲み干した時 言っちゃったんだ。


「植島チーフのこと 好きなんです。付き合ってもらえませんか?」って。


 それを聞いた 植島チーフは 明らかに動揺した。

 スゴく困った顔して しばらく口籠った後 小さな声で言った。


「……とりあえず ちょっと考えさせて」って。


 恋愛経験の無いボクだって そのセリフが〈やんわりとした 断りの常套句〉だってことくらい知っている。


 本当に恥ずかしくて 死にそうで 自分のバカさ加減が許せなくて。

 アパートに帰って 布団にうつ伏せになり 枕被って 半泣きになってた。

 時々 居たたまれなくなって奇声を上げたり 枕を壁に 投げつけたり。



 そんなとき スマホが鳴った。

 植島チーフからだった。

 正直 電話に出たく無かった。


 でも 種を播いたのは 自分のバカさ加減。

 覚悟を決めて 電話に出た。

 


『如月君? あの植島です。けっこう お酒飲んでたけど大丈夫?』


「あ はい。大丈夫です」


『あっ あのさ 酔ってたみたいだから 覚えて無いかも知れないけど アナタ 私に告白したのよ。覚えてる?』


 

 ああ 叱られるんだなって思った。『お酒飲んでてても 告白なんてしたらセクハラになるのよ』とかそんな感じで。

 でも 当然の報いだ 甘んじて受けよう。

 


「はい。覚えてます。済みませんでした」


『覚えてるんだ…。もう 酔いは醒めた?』


「えっ? あ はい。醒めてます」


『あのさ 酔って無くても 気持ち変わんない?』

 


 えっ? 叱られるんじゃ無いのか? また 心臓がドキドキし始める。

 ……いや。期待は禁物だ。

 でも フラれるにしろ 叱られるにしろ 自分の気持ちは正直に伝えたい。

 酔っぱらってのセクハラって思われるのは 絶対に嫌だ……ボクは ボクなりに真剣に 植島チーフのことを想ってる。

 


「あの 酔って変なこと言って 済みませんでした。……だけど 僕の気持ちは 本物です。好きです。付き合って下さいっ」

 


 受話器の向こうの重い沈黙。

 永遠にも似た 無限に続くかのような 絶望的に長い時間。

 


『……あの えっと さっき お店で言ってくれた時 すぐに返事できなくてゴメンなさい。告白してくれて 本当に嬉しくて でも……』


 

 『でも』?

 ああ。やっぱり……。

 


「済みませんでしたっ! 僕なんかじゃ やっぱり…… 」


『ちっ 違うっ 違うのっ。あっ あのっ 私 如月君と お付き合いしてみたいって……』


 

 信じられなかった。

 ずっと憧れてた歳上の女性ひとが ボクの恋人になってくれる?




11月 

 嬉し過ぎて 大事にしなくちゃって思って でもどうしていいか分からなくて かなり困った。

 デート先とかは ネットで調べたり 妹達に相談したりして決められるんだけど 手を繋いでいいのか? キスは? その先は?

 全然 分からない。


 植島チーフは 歳上だし そこら辺はリードしてもらおうと思ってた。

 1回目のデートも 2回目のデートも いっぱい喋って 笑ってもらって 楽しんでもらえたと思うし もちろん ボクは楽しかった。

 でも 手を繋いだり 腕を組んだりとかのスキンシップは 無し。

 まだ 早いってことなのかな?

 けど 3回目のデートでは もう少し踏み込みたいって思ってた。

 


 でも 3回目のデートも 晩ご飯食べ終えて そろそろサヨナラの時間。


 

「今日も楽しかった。ありがと。じゃあね また……」


「……待って」


  

 そう言って 帰ろうとする植島チーフの手を掴もうとした。

 もう少し 一緒にいたかったから。

 ボク達は 恋人同士。

 手を握るくらい 大丈夫なハズ。


 だけど 緊張しちゃって 鈍くさいボクは力加減が上手くできない。

 ちょっと 掴むつもりが グッとこっちへと引き寄せてしまう。

 バランス崩したチーフが ボクの胸に飛び込んでくる。


 手を繋ぐつもりが いきなりのハグ。

 植島チーフは ボクの腕の中で ギュッと身体を硬くしてる。

 

 

「ゴっ ゴメンなさいっ」

 


 慌てて謝ったけど チーフは 小さく首を横に振って そして囁いた。

 


「もっと ぎゅってして欲しい……」

 


 ボクの腕の中のチーフは 本当に小さくて儚い感じ。

 いつもの職場での 頼りになる感じとは 別の自信なさげな雰囲気。

 


「あっ あのっ 如月君…。言おう 言おうって思ってたんだけど 言いそびれちゃってて……」


「なっ 何ですか? 何でも聞きますよ?」

 


 ちょっとドキドキするけど どんな告白でも 受け止めようと思う。

 ボクが仕事でミスした時も 植島チーフは 受け止めてフォローしてくれた。

 今度は ボクの番。

 


「あのっ あのね…。私 もう 31なんだけど 男の人と お付き合いするの初めてなの……」

 


 いつも 颯爽としてて 自信あり気な植島チーフが スゴく恥ずかしそうな感じで 上目遣いでボクを見てた。

 歳上の美人だし 意外だったけど そんな彼女に認められた男なんだと思ったら 滅茶苦茶 嬉しかった。

 


「……やっぱり 引いたでしょ? 30超えて 初めてなんて……」


「そっ そんなこと 無いです。すっごく嬉しいっていうか光栄っていうか……。選んでもらえたってことですよね?」


「……う うん。如月君なら いいかなって 思えたの。でも… あの その 歳上なんだけど リードとか してあげれないし……。分からないことだらけ だから 色々 教えて欲しいの。……ダメかな?」


「あっ あのっ 僕も 付き合うの初めてですけど 頑張ってリードできるように勉強します。仕事場とかで いつもリードしてもらってるし それくらい 頑張ります!」

 


 自分としては カッコ良く宣言したつもりだったけど 植島チーフは 小さく吹き出した。


 

「もうっ 如月君はドクターなんだから いつまでも 私にリードされてちゃダメでしょ?」


「えっ? あっ ハイ。ゴッ ゴメンなさい……」


「子ども達に寄り添える とっても素敵な先生なんだから もっと自信持ってくださいね?」


 

 植島チーフが ボクのこと そんな風に評価してくれてるなんて 全く予想外で 胸が熱くなって 彼女のことを ぎゅっと抱き締め直す。

 これって このままキスって流れだよな?って思いながら 勇気が持てないまま 硬直してたら ドンッと 通行人に肩をぶつけられた。


 そして気付く。

 ここって繁華街の交差点。

 2人の世界に浸ってたけど 他の人に丸見え。


 そっ そんな場所でキスとか 恥ずかしすぎる。

 植島チーフも 気がついたみたいで 顔が真っ赤。

 でも ボク達の気持ちは1つ。

 チーフの小さな耳に顔を寄せて 想いを伝える。

 


「あの チーフ…。僕 チーフとキスがしたいです……」


「……うっ うん。私も してみたい……」

 


 どこか 人目につかず 邪魔されない場所って無いだろうか?

 ボク達は お互いの手を繋いで 夜の街を少しウロウロ。


 そんな恋愛初心者の2人がたどり着いたのは 結局ラブホテル。

 お互い同意の上で もちろん2人とも成人済み。

 でも 滅茶苦茶 緊張して ぎゅっと手を握り合って ゲートをくぐる。


 何度かキスをして その先へ……。


 正直 酷い有り様だった。

 全然 上手にできなかった。

 でも 落ち込むボクを チーフは ぎゅっと抱き締めてくれた。


「ありがとう。凄く満たされたよ」って。


 優しい笑顔。

 女神様みたいだった。

 本当に包容力のある女性だと思った。

 ……その時は。

 今も そう思ってる部分もあるけど。



3月 

 仲が深まってくると 友絵さんの新たな一面が。

 クールな美女とか 全然 勘違い。

 怒りっぽいは ちょっと予想できてたけど 想像以上の甘えたがり。

 

 どっちかって言うと というか 滅茶苦茶 可愛いらしい人だった。

 職場でのビシッとした姿さえ可愛く見えた。


 恋愛も甘々なのが お好み。

 家に泊まりに行った時とか お姫様抱っこをしてあげると

 


「やだっ 恥ずかしいし…。重いでしょ…?」

 


 って毎回言うんだけど スゴく嬉しそうで 機会を見つけては 何回もしてあげた。

 

 だから あの日 家に呼んでもらった日も 仕事終わったら キチンとスーツに着替え 真紅の薔薇の大きな花束を用意した。

 ちょっとキザだって思ったけど 絶対 友絵さんの好みのハズ。


 玄関のドア 開けてもらったタイミングで渡すつもりだったけど 緊張して ひと呼吸 遅れて友絵さんは かまちに上がった後。


 

「友絵さん」

 


 って 背中に声を掛ける。

 そして振り向いてくれた友絵さんに 薔薇の花束を捧げる。

 友絵さんは ちょっと驚いた表情。

 一気に畳み掛ける。

 


「あの 友絵さん。僕 絶対 友絵さんのこと幸せにします。だからっ だから 僕と結婚してもらえませんか?」


 

 何度も練習したセリフ。

 ほぼ 詰まることなく言うことができた。


 友絵さんは 本当にビックリしたみたいだった。

 腰が抜けたみたいに ドアマットの上にペタンと座り込む。

 でも ちょっと潤んだような 可愛い笑顔で 承諾の言葉をくれる。


 

「あ あの こちらこそ よろしくお願いします……」



 ボクの可愛いお姫様。

 世界一素敵な花嫁さんに軽くキスをする。

 そして 用意してきた5石の指輪を左手の薬指に塡めてあげる。


 友絵さんが作ってくれた美味しい美味しい鶏肉のコンフィを食べながら これからのことを相談した。

 秋頃 結婚式を挙げて 新婚旅行はイタリアへ。

 夢の話じゃない。

 計画を立てたんだ。


 ボクも4月からは正式にドクターだ。

 正式に就職して 結婚して家庭を持つ。

 人生の新しいステージに立つって訳だ。

 その内 子どもができたりもするだろうと思う。

 でも 友絵さんが 隣に居てくれれば 乗り越えていけるし 楽しくて幸せな家庭を築ける自信……きっと 大丈夫。

 


                 ~Welcome to next stage~ 

  


 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る