殉星のヴァルハラグナ

創式浪漫砲༺艦༻

ーー神殺樹の木の下でーー

 ーーあまねく星が光りし時、聖戦が開かれし終焉へと向かうだろうーー

 ーーこれは神無き人が神へと臨む物語


 神殺樹(シンサツジュ)。

 それは神すらも殺すと言われる伝説の樹。

 

 天界まで届かんとするその大樹の下で今日も少女は姿を現す。 


 『よし...... 今日もあったな』


 少女はいつも同じ時間にやってくる。


 水をやり、周辺を回り、赤い実の果実を頬張っては昼寝を繰り返す。


 少女にとって神殺樹は小さい時からの付き合いであり友達なのだ。


 (昔はあんなに小さかったのにな......)


 何故か眠くなるその果実を貪りながらうたた寝をしていた時であった。


 『不沈なる強欲の樹よ 天の裁きにてその身を焦がせ!!!』


 天の清浄なる火の中で、突如現れた神々の軍勢は、神殺樹(シンサツジュ)を取り囲み、その命を断とうとする。   


 『神殺しの樹...... 所詮伝説に過ぎぬ存在だ 神の領域を侵食した罪を償え』


 言葉と共に、神々の怒りの炎が樹を包み、天を焦がすような灼熱の光が今にも降り注がんとしていた。


 少女はそのすべてを無関心に見守りながら、あくびをする。


 (zzz...... (ん......? 今、何か見えたような......?))


 ぼんやりとした視界の中、燃え盛る光景が広がっているのに、少女の目はどこか遠くを見ているようだった。


 その瞬間、神々の軍勢が突然立ち尽くす。


 『!? 何だ!? 何故やられている!?』


 『何 ......故か意識が遠のいて......』


 神々の存在が薄れ、消えていく音が響く中、ただ一つ、異常な静けさが支配する。


 崩れゆく神々の軍勢、その背後で聞こえるのは――

 大いなるイビキのみだった......。

 

 ーー『セウォルツ...... やっぱりここにいたんだね......』

 どこか憂げな表情を見せる謎の存在。

 寝るはずもない神を回収して姿を消す。

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