無価値の結界師 ~不遇クラスから始まる英雄譚~
アストラル
第1章 少年の旅立ち
第1話 無価値の烙印
リュカは澄み渡る青空を見上げながら、緊張に汗ばむ手のひらをぎゅっと握りしめた。今日は彼の15歳の誕生日。そして、それはこの世界において人生を左右する重大な日でもあった。
「クラス授与式か……」
リュカは幼なじみのアリスと共に村の中央広場へ向かう。広場には同じ年の少年少女たちが集まり、家族たちも見守る中、村の長老がクラスを授けていく。
この世界には無数の
またそれとは別に、この世界には魔法も存在する。
「アリス=アスドランド!」
どちらが先に呼ばれるかアリスとリュカが話していると、アリスが呼ばれた。アリスは壇に上る時に緊張しているのか、いつもの朗らかな笑顔はなく真面目な顔をしていた。
長老がアリスに手をかざした。するとアリスの体はほかのみんなと同じく淡い光に包まれた。しかしそれは一瞬だった。ほんの一瞬、アリスを包む光が強くなったのだ。
「
そう告げられた瞬間、広場はどっと沸いた。
「リュカ、やったよ!」
「ああ!すごいよアリス」
「リュカ=ハルティ!」
アリスと話していたリュカは長老の声に呼ばれ、心臓が高鳴るのを感じながら壇上に上がった。先ほどのアリスの
長老が手をかざすと、リュカの体が淡い光に包まれた。するとアリス同様、いやそれ以上の光がリュカの体を包んだ。そして長老の口からクラス名が告げられる。
「
その瞬間、周囲がざわつき始めた。期待に満ちていた視線が、一転して困惑や嘲笑へと変わっていくのが分かる。
「結界師……? あれ、基礎魔法で使える『魔法障壁』と同じじゃないのか?」
「ユニーククラスって言っても、これじゃ意味ないだろう」
失望に満ちた声が聞こえるたびに、リュカは顔を俯かせた。
「リュカ……」
壇の下で見守っていたアリスが心配そうに声をかける。しかし、リュカは答えられなかった。自分でも分かっていた。「結界師」という
期待していた未来が音を立てて崩れ去っていく。リュカは、広場からの帰り道、終始無言だった。アリスはそんなリュカを見つつも、なんと声をかければいいのか分からなかった。
その夜、家の中でリュカはひとり、拳を握りしめて悔しさを噛みしめていた。
「なんで……なんでこんなクラスなんだよ……!」
涙がこぼれるのを止められない。これからの人生に何の希望も見いだせないまま、リュカは眠れぬ夜を過ごすのだった。
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