どうしてもあなたがいい。

こうむ

第1章 告白

第1話 大好きな初恋相手

『結菜さん、僕と付き合ってくださいっ!』


『…ごめんなさい。 好きな人がいるの。それに勉強忙しいから。友達として仲良くしてください』


呆気なく俺の初恋は幕を閉じた。

この人とならどんなに不幸になっても構わないと本気で思えた人だった。


小学生になる前からの幼馴染で小さい頃はよく遊んでいた。

思春期に突入する小5の時に同じクラスになり、だんだん彼女のことが気になり始めた。

それからは運動会も学芸会も視界の中の多くは彼女になっていた。

しかし、俺の周りでは異性と関わることは気持ち悪いとされていたため、6年生でクラスが離れて以降はほぼ関わることが無くなってしまったのだ。

彼女の方を見つめ、目が合うと目を逸らす。

そんな中学時代を過ごした。


ちなみに中学時代は、未知の新型ウイルスの影響で普通の学校生活は送れなかった。俺は未来への貯金として勉強を全力で頑張った。

また彼女も勉強が得意だったため、同じ進学校を受験するだろうと思い、高校生活を妄想してなんとか頑張ることが出来た。


中3の冬、大人の行為を知った。

男子にしては遅いと感じる人も多いと思うが、ガリ勉だった為、学校の男子らは日常的に下ネタを連発していたが、味を示さなかったからだ。

きっかけはネットサーフィンをしていたら嫌らしい広告が出てきて興味本位でクリックしたことだった。衝撃的だった。

それからは彼女を妄想しながら受験勉強を頑張った。


受験の日、高校には彼女の姿があった。

彼女の方が勉強の順位は上だったので、自分が合格すれば、同じ高校に進めると思い内心喜びながらシャーペンを動かした。

結果は合格だった。

長年片思いだったけど、今年こそ告白するぞ!とやる気に満ちていた。


入学式の日、張り出された紙を見て俺は失望した。彼女は1組で俺は6組。これでは関わる機会がないじゃないかと落ち込んだ。

追い打ちをかけるようにブラック進学校だったためにプライベート時間はほぼ無くこれが現実かと落胆の日々を過ごした。


しかし、夏休みが明ると、文化祭モードとなり一時的に高校生らしい学校生活となった。

俺は、この文化祭で彼女に告白する!そう意気込んだ。

文化祭当日、俺はクラスのお店の定員をしていた。すると、彼女が友達と俺の前に来た。

『クレープ1つずつください』

気が狂いそうになりながら仕事を終えた。


文化祭が終わり、みんなが帰ろうとしている中、ついに俺は動いた。

『結菜さん、ちょっといいかな』

彼女は驚きながら

『はい』

と答えた。

人気のない階段まで誘導し、深呼吸をして言葉を放った。

『俺と付き合ってください』

彼女は赤くなった顔を押さえていた。

頼む!成功してくれ!!

しかし、こう返事をされた。

『…ごめんなさい。好きな人がいるの。それに勉強忙しいから。友達として仲良くしてください』

『あっ…そうですか。じゃあ…』

『…でも気持ちはとても嬉しい。ありがとうね。LINE交換する?』

泣きそうになるのをこらえながら、もちろんLINEを交換させてもらった。


落ち込んで何時間も帰りの駅で座っていた。

『好きな人って結菜さんと同じクラスの奴だよな。もっと早く言っていれば…』

頭の中は後悔しかなかった。


ジリリと目覚ましの音。

昨夜はふて寝したんだった。

今日学校休もうかな…

そう思っていると体に違和感が。

鏡を見るとなんか体が子供っぽい。

そんなわけない、とりあえずトイレ。と行ったドアに貼られてあるカレンダーを見てやっと状況が飲み込めた。

『はっ?!!3年前?!!!』

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