第二章 注目の新星

 その夜の公演が地方の演劇祭で評価され、シェインは見事に賞を受賞した。この成功が地元メディアに取り上げられ、彼女の名前が広く知られることになる。クラブのリハーサル場では、その話題で持ちきりだった。


「シェイン、本当におめでとう!みんなで応援してるからね!」とクラブメンバーの一人が声をかけると、シェインは恥ずかしそうに微笑んだ。


「ありがとう。でも、これもみんなのおかげだよ。一緒に練習してくれたおかげで、自信を持てたんだ」とシェインが返した。


 その時、新たなメンバーとしてエイダが登場する。彼女は堂々とした様子で、自信に満ち溢れていた。エイダはすぐにシェインに近づき、握手を求めた。


「シェイン、私はエイダ。あなたの演技、とても感動したわ。これからよろしくね」とエイダが言うと、シェインも応じた。


「こちらこそ、よろしくお願いします」とシェインが答えたが、エイダの目には競争心が見え隠れしていた。


 数週間後、次の大きな公演「マクベス」のオーディションが行われることになり、シェインとエイダは同じ役に挑戦することになった。オーディションの日、エイダはシェインのそばで何かをつぶやいている。


「シェイン、私たちの真の勝負はこれからだわ。舞台上での対決を楽しみにしてる」とエイダが挑発的に言うと、シェインは少し緊張しながらも冷静を保った。


「私も、エイダ。最高の演技で応えたいと思う」とシェインが答え、その言葉にエイダは一瞬、驚きの表情を見せたがすぐに笑顔に戻った。


 この新たなライバルとの出会いが、シェインにとってさらなる成長のきっかけとなり、彼女の演技に新たな磨きをかける機会となった。シェインは自らを鼓舞し、これまでにない厳しい舞台に挑む決意を固めていた。


「マクベス」の公演が近づき、緊張感が演劇クラブ全体を包んでいた。シェインとエイダはそれぞれの役に熱中しており、彼女たちの間の緊張は見る者をも圧倒するほどだった。公演の初日、シェインは舞台裏で深呼吸を繰り返していた。


「シェイン、君は大丈夫だよ。自分を信じて」とタオが静かに励ましを送った。


「ありがとう、タオ。私は準備ができてるわ」とシェインが答え、舞台に向かった。


 公演が始まり、エイダは意図的にシェインの演技を妨害しようとした。彼女はセリフを大声で言ったり、シェインのセリフ中に無駄に動き回るなどして観客の注意を引きつけた。


 シェインは一瞬動揺したが、すぐに自分を取り戻し、さらに深みのある演技で応じた。エイダの挑発にも動じず、彼女の内面から湧き上がる力でセリフを強く発した。


「恐れるな、誰も石の森から来ることはない。」シェインが力強く宣言し、エイダの妨害を見事にかわした。


 公演が進むにつれて、シェインの堂々とした態度と情熱的な演技が観客を引きつけ、エイダの策略は逆に彼女に同情を生む結果となった。幕が下りると、会場からは大きな拍手が起こった。


 しかし、その夜のことでエイダは意外な事故に遭い、ステージの裏で転倒してしまった。シェインは最初に駆けつけ、エイダを支えた。


「大丈夫? 痛みは?」シェインが心配そうに尋ねた。


「ええ、ありがとう、シェイン。私、ちょっとやりすぎたわね。」エイダが苦笑いしながら答えた。


 この事故がきっかけで、二人の間に新たな絆が生まれ、競争から友情へと変わっていった。エイダはシェインの真摯な態度に感銘を受け、「ありがとう、シェイン。君は本当に素晴らしい演技をしたわ。私ももっと学ぶべきだった」と認めた。


 この出来事はシェインにとっても大きな教訓となり、彼女は舞台上での対立だけがすべてではないことを学んだ。二人の友情は、それぞれの演技に新たな深みを加えることになるのだった。

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