きっと、私は此処から帰れない。
伶佳 零
第1話
自分が今いる場所に、不満がある。
未練があるといった方が正しいのかもしれない。
死にもの狂いで努力していた時期があった。中学生のときだった。
当時、私は勉強とダイエットを頑張っていた。勉強では学年1位になりたかったし、高校にも受かりたかった。太りすぎて肥満外来に通っていたので、ダイエットも頑張っていた。
そのときに出した結果は、とてもよかった。
学年1位にもなれた。志望校に受かった。10kg痩せた。
ただ、私はずっと努力し続けられなかった。
摂食障害になって、痩せたり太ったりを繰り返すようになった。
統合失調症になって、勉強に手がつかなくなり、受かった高校を辞めて通信制高校に転校することになった。
行きたかった大学があった。
また、必死に勉強するようになったけれど、すぐにやめた。続かなかった。勉強がいやすぎて、死にたくなって市販薬の乱用までした。
太った体が、元に戻ってくれなくなった。いちばん痩せていたころに比べて、40kg近く太った。
こうなったのは、すべて病気のせいだ。私は悪くない。
私は、病気になるために生まれてきたのではない。
だが、もう遅い。
私は、現在地から過去へ帰れない。努力ができていた自分は、もういないのだ。
病気とは一生付き合っていかなければいけない。
過去に帰りたい。帰ってやりなおしたい。
しかし、そんなことができるわけがない。
私は、あがくことしかできない。
死にたいとか、それでも生きたいとか、ぐちゃぐちゃの感情のなかで呼吸する。
そんな生き方しかできない。
それで良いなんてことは、到底思えない。
もう帰れないのなら、抵抗するしかないのだ。
帰りたいより、前に進みたい。そう思いながら、私は生きる。
きっと、私は此処から帰れない。 伶佳 零 @reika_zeroro
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