第25話
何も映し出してはいないはずの画面を見つめて、一人の顔を思い出す。
(見つかってる……?)
いや、探されているなら場所の特定も学校の特定もされていないはず。
嵐神とつながりがあることも知られているわけではないだろう。
そこまで結論づけて、人知れずにため息をついた。
嵐神の位置を狙っている敵対グループはまだ多い。
ルシフェルも着々と動いている。
動くときは朱理の様子からしてまだ先だろうが油断はできない。
そんな中で今の霞動かれるという状況はあまりよろしいものとは言えない。
(まだこっちも片付いてないのに)
いまだ話を続ける夏楓とそれを真剣に聞いている彼らには、そんな考え込んだ様子の王子の姿は視界に入っていないらしい。
(早めに髪、染めようかな……)
探されているのが金髪ならば早めに色を変えたほうがよさそうだ。
(ごめんね、咲楽……)
***
「っおい!っざけんじゃねぇぞ親父!!」
尊がここまで怒鳴り声を上げることはかなり久しぶりだ、と由良は達観した様子で見つめていた。
もともと気性は荒いが、社長を継いだということもあって最近はかなり落ち着いていた。
特に圭介と向かい合ってやりあうことは無くなっていたのだが。
今はまるで高校生のときに戻ったように睨み付けている。
由良の視界に揺れる髪の色は真っ黒。
随分と久しぶりに見る色だ。
「仕方ないだろ。先方の強い願いなんだから。それに結果は決まってんだよ。可愛い由良を嫁に出すわけにはいかないからな」
「だからって、なんで見合いなんて由良がしなきゃなんねぇんだっ!」
「お前だってやってるだろ。今までの食事会みたいなもんだ。お前こそ早く嫁を連れてこい」
収拾がつかなくなりそうだ、と由良は横に立っている透に視線を移した。
尊が由良の見合いを知ったのはついさっきだった。
圭介が由良を迎えに来たのは早朝で、準備が終わって榊家を出ようとしたところで出勤前の尊と鉢合わせ。
尊を迎えにきた透も傍観者に加わって成り行きをみていたが言い合いが収まる様子はなかった。
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