第16話 歩いてるんだが?
「那珂川さん今日はすみませんッした」
「ミスから学ぶことができたらいいんじゃないかな?」
「あざッす」
ホントに分かってくれてたらうれしいが、俺はあまりひとを叱りたくない。あくまで?自分で気づく?ようにさりげなくアドバイスをしてやるだけだ。
瀬下に誘われて、今日はふたりだけで、飲みに繰り出している。
「あれ、当真くんじゃないっすか?」
居酒屋を出た帰り、大通りの向かいの歩道で当真くんによく似た人物が、同じ方向、少し前を歩いている背中が見えた。
隣にいるのは、男性……。
なッ、当真くんが一瞬、その男性の肩を笑いながら『ペチッ』と叩いた。
「彼氏っすかね?」
「はぅあぁぁぁぁぁ!」
「那珂川さん、どしたんスか? いきなり……」
『ゾクゾクッ』
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