熱々惣菜学園

ゆずリンゴ

第1話 オカズの定番?カリッとジュシー唐揚げ君

「遅刻遅刻ー!」


私、コッペ・パン。惣菜学園にこれから通う女の子。


今日はその入学式なんだけど寝坊しちゃって大変!

朝食のイチゴジャムひと瓶を飲み込みながら急いで走っています。


(ドンッ!プシュー)


―――って、キャ。

角を曲がろうとしたら誰かにぶつかちゃった。


「おいおい、急いでるこの唐揚げ様にぶつかるなんてお前……生意気だな?」


ぶつかったのは悪かったけど何この言い方!初対面のパンに言う言葉だなんて思いえないよ。


「な、何よ……悪かったわよ。けど貴方だって前方不注意だったのに」

「知らねぇよ!お前とぶつかった衝撃で俺のカリッとジュシーな肉汁が漏れ出たんだぞ?」


うわ、本当だ。肉汁が地面にポタポタと落ちてる。……でも、どうしてかな?すごくいい匂い。


「って、そんな話してる場合じゃねぇ!忘れ物を家に取りに帰らねぇと」

「あっ、待って!」

「なんだよ」

パン屑これ……せめて肉汁が出てる部分、埋めてった方がいいよ。せっかくの旨みが逃げちゃう」

「……自分の身体を知り合ったばっかの俺にだと?はっ、おもしれぇ女」

「……行っちゃった。あ、それよりも私も早く行かないと!」


―――少し憎たらしいけれど、カッコイイ唐揚げくん。

そんな彼と、また会えたらいいな。


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