学校の階段

@JULIA_JULIA

第1話

 ワタシの高校には、怖い話が伝わっている。それはなんともおぞましく、身の毛が弥立よだつ話である。




 ある女子生徒が階段を上がっていたところ、なんだか突然、寒気を感じたらしい。まるで何者かに見られているような感覚に陥ったらしい。周りを見るが、自分以外に生徒はいない。そして勿論のこと、教師もいない。それなのに、どういうワケか視線を感じる。彼女は、なにがなにやら分からないまま、階段を上がっていく。


 手摺りに掴まり、ゆっくりと階段を上がっていく彼女。しかし寒気はしたままだし、視線も感じたままだ。よって彼女は更に手摺りへと近寄り、身を預けるような格好で階段を上がっていく。わらにもすがる思いで、手摺りを頼ったのだ。


 すると、より強く視線を感じた。しかし、やはり周りには誰もいない。ワケの分からない彼女は、それでも階段を上がっていく。


 その階段はいわゆる『折り返し階段』で、踊り場を境にして進行方向が百八十度変わる階段になっている。そして折り返す階段同士のあいだには、そこそこの隙間があり、その部分は吹き抜けになっている。


 変わらず階段を上がっていく彼女は、ふと下を見た。吹き抜けになっている隙間を見た。するとその先には、無数の目。それらの目はどれも血走っていて、一心に彼女のことを見ていた。その、なんともいえない光景に、彼女は悲鳴を上げた。






 無数の目の正体は、怨霊や化け物ではない。男子生徒だ。多くの男子生徒の目だったのだ。彼らは階段を上がっていく女子のスカートの中身───つまりは、パンティを覗いていたのだ。あぁ、なんという、おぞましさ。


 それからというもの、この高校では女子生徒たちは、階段を上がるときには吹き抜けに近寄らないようにした。


 勿論、ワタシもだ。



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