歩調
しゆ
4作目
「ぁぃだっ!!!」
花織ちゃんと2人の帰り道。
私は間抜けな悲鳴を上げる。
花織ちゃんとのお喋りに夢中になりすぎて、目の前の電柱に気が付かず激突したのだ。
「ゔぅ〜」
私は痛いのと恥ずかしいのとでうめき声をあげながらうずくまる。
「一途、大丈夫?」
花織ちゃんが心配してくれるけど、私は恥ずかしくて顔を上げられない。
すると、花織ちゃんはしゃがみ込んで、私の顔を下からのぞき込む。
「あらら、おでこを擦りむいちゃってる」
「ちょっと待ってね」
花織ちゃんは私の頭を軽く撫でて、おでこに絆創膏を貼ってくれた。
「一途の可愛い顔に傷跡が残らないように、ちゃんと手当てしないとね」
さらっと漏れ出る王子様発言にキュンとしていると、さらなる爆弾が投下される。
「痛いの痛いの飛んでいけ!」
花織ちゃんはそういうと、私のおでこにそっと唇を落とした。
「ぴぁっ!!!!」
私が驚いて飛び上がると、花織ちゃんはくすりと笑う。
「さぁ、帰ろうか」
そう言って振り返ると、花織ちゃんはすたすたと歩き出す。
「あっ、待ってよ〜」
慌てて後を追いかける私は、花織ちゃんの耳がほのかに赤く染まっていることに気がつかなかった。
歩調 しゆ @see_you
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