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ドナは白い肌をした細身の体に白いローブのような服を着ている。腰まである長くて美しい髪も白い色をしている。
ドナは子供のころからずっと真っ白だった。
だからドナは同じように真っ白な白い子供の狼を見て、「おんなじだね」と嬉しそうな顔で笑って言った。
「一緒に歩こう」
そう白い子供の狼に言ってから、これから私たちはどこに行こうとしているだろう? とそんなことをドナは疑問に思った。
でも、そんなドナの言葉を聞いて白い子供の狼は嬉しそうな顔をして、ドナのことをじっと見つめていた。(ドナもそんな白い子供の狼を見て、くすくすと笑っていた)
だから、とりあえず行けるところまで歩いて行ってみようとドナは思った。
私たちは、自由なのだから。
これから、どこにだって行けるのだから。
それからドナは白い狼の子供と一緒に初めて見る世界の中をゆっくりと歩き始める。
この命が、尽きるときまで。
残念なことに大きな神殿の外に出ても青色の空は見ることができなかった。空は曇っていた。そして大地には色はなく、命もなかった。やっぱりここは文献で読んだ通りの死の国なのかもしれないとドナは思った。そんな色のない世界をきょろきょろと見ながらドナは歩き続けている。
それからふとドナは後ろを振り返った。そこには小さく見える、さっきまでドナがいた大きな朽ちた神殿が見えた。その向こうには巨大な谷があり、(まるでそこが生と死の国をわけるような)その谷にあるたった一つだけの古い吊り橋を渡って向こう側にある森の中に戻れば、そこから頑張って一日くらい森の中を歩けば、ドナは自分の生まれた古い村に戻ることもできた。
でも、そうしようとは思わなかった。
それは自分を生贄にした村の掟や村のみんなのことが嫌いだからとか、そう言ったことが理由じゃない。
私はもう『あの村の家族の一人としての資格を失っている』とわかっていたからだった。
生贄として、神殿に捧げられたときから。私にはもう帰る場所はどこにもないのだ。
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