白楊に栄光

ホランちゃん

栄光を誇張したところで、心は満たされない。

「僕は、あの時代からどれだけ惨めになっているんだろう」


 ベッドの中で、僕は呟く。


 すると、様々な情けない自らを表した自分なりの感想が自発する。


 こんなに太っていたのに、痩せることができない自己管理のできない怠惰なヤツ。


 子役の人気が絶えないと思って、勉強も全くやってこなかった、将来設計のできないポンコツ。


 そして今、何にもできない自分をごまかそうとして、子役の時代を必死に周りの女子にアピールしてる鬱陶しいブタ。


 自分に対する罵倒や後悔は止まることを知らず、結局寝れなくて、パソコンを起動して、ネットでエゴサする。


 時の止まっている自分の子役時代のアカウント。


 少しずつ減っていっているフォロワー。


 自分に対してのオワコン感を呟くコメント。


「お前みたいな、誰からも注目されたことがないような奴がいう事じゃねぇだろ(笑)無能すぎて人生楽しくないの?だからお前よりも上の奴を叩くんだね(笑)かわいそ(笑)」


 僕はそうサブ垢で攻撃する。時々レスバになるが、それでも自己肯定感の反射的な防衛に過ぎなかった。


 自分に対する悪口を見ると、反撃せずにはいられない。


 そうやって、自己防衛をしながら自らの承認欲求を満たしていく。


 オワコンになった子役に肯定的な意見などは、かえって毒であるのに、承認欲求を満たすためには毒を飲むのだ。


 それを、僕はわかっていなかった。

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