十月まで生きたカブトムシ

Wildvogel

第一話 不安が勝った状態から始まった飼育

 あれは、私がまだ小学生の頃の六月だっただろうか。


 その当時、私はカブトムシを幼虫から育てていた。


 それまで、幼虫から育てるということを経験していなかったため、しっかりと育てることができるだろうかという不安の方が楽しみよりも強かった。


 だが飼った以上、最後まで面倒を見るのが飼い主の役目だ。


 私はカブトムシがしっかり育つように温度管理などを徹底し、大事に大事に育てていった。



 飼育は順調に進み、幼虫はやがてさなぎとなった。


 あとは、成虫になる時を待つのみ。


 私は温度管理などの徹底を続け、様子を見守った。



 この当時の私は、カブトムシにこういったイメージがあった。


 カブトムシは八月までしか生きることしかできないと。


 このカブトムシも八月までしか生きられないだろう、と私は勝手に決めつけていた。


 その数か月後、その考えを覆すような出来事が起こることを知らずに……。

 

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