男子校の姫ポジの俺が悪役令嬢になったら無双した件。

専業プウタ

第1話 男子校の姫ポジが悪役令嬢に。

 中高一貫校の男子校の姫ポジだった櫻涼太は悩んでいた。

 最近、みんな大学受験に備えて塾に行き始めた。


「なんか、塾で本当の女子を見ちゃうと涼太って可愛くなくね」

「よく見ると髭も生えてるよな」


 トイレの個室、そんな話を聞いたら表に出ていく勇気がなかった。

 俺は中学から入学して5年間、男子校の姫ポジとして可愛がられてきた。

 先生も同級生も俺を男のようには扱わない。


 みんな俺のことを可愛い女の子のように、猫可愛がりで丁寧に扱う。

 そのポジションを俺は気に入っていた。


「3年の優太先輩も可愛かったのに、ゴツくなったよな。やっぱり、本当の女には敵わないよ」

 その言葉を聞いて気が遠くなり始めた。

 何がいけなかったのだろう、俺の方が絶対に女子より可愛いのに。


 小学校の時は普通にスクール水着の女子にときめく男の子だった。

 しかし、中学受験で男子校に進学して俺の運命は変わった。

 可愛がられるというポジションの美味しさを知ってしまったのだ。


 終わってしまう、この時が。

 絶望に打ちひしがれながら、トイレの扉を開けるとそこには異世界が広がっていた。


♢♢♢


「アレキサンドラ。また、ミーナを虐めたそうじゃないか」

 俺はその長過ぎる名前に、自分が熱中していた乙女ゲームを思い出した。

 アレキサンドラはR18の乙女ゲーム『悪役令嬢は今日も痛ぶられる』の主人公だ。


 これは、ドM女子向けのゲームで、しかも年齢制限がある。

 でもイイ男に痛ぶられたい願望のある俺は、年齢を偽り性別も偽ったアカウントを作りネットで購入した。


 もしかしら、これは俺の願望が生み出した白昼夢かもしれない

 でも、アレキサンドラになれるなら楽しませて欲しい。


「アレキサンドラ、なぜ、ウィンナー卿の上に座っている」

 婚約者であるアラン王子殿下が怒った顔をしている。



 ウィンナーはアレキサンドラの護衛騎士だ。

 がっちりした体格の男の膝上に座るのは姫ポジの流儀だ。


「アラン様、申し訳ございません。ウィンナー様が逞しくて」

 俺がいった言葉に、アランの顔が赤くなる。


「ふざけるな、君は俺の婚約者だ!」

「でも、アラン様にはミーナ様がいらっしゃるではないですか?」


 俺の言ったことは間違いない。

 そしてこのゲームにとって、ミーナの存在は嫉妬のスパイスに過ぎない。

 ミーナに気を取られているように見せて、アレキサンドラを虐めたいのがアランの本心だ。

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