美少女天才発明家の先輩が助手の俺とイチャラブする為だけに世紀の大発明を使ってくる

にぃ

第1の発明品 好感度見えるクン

「ついに完成したわね。助手くん」


「ええ。世紀の発明をしてしまいましたね博士」


 大学の化学研究室にて1組の男女が怪しげに笑い合っている。

 この研究室には俺を含めて二人しか在籍者がいない。

 目の前の白衣の女性は1つ上の先輩で通称『博士』。

 ずっと博士と呼んでいるので正直名前も忘れてしまった。

 まぁ、向こうもずっと助手くん呼びだし、俺の名前なんて忘れているんだろうな。

 博士と助手。俺達はそれだけの関係だった。

 この日までは——


「博士。この発明品に名前を付けましょう」


「いいわね。ねね! 私が命名していい!? いいかな!? いいよね!?」


 ずずぃと顔を近づけて瞳を輝かせている博士。

 フワッと良い香りが鼻孔を擽った。


「も、もちろんです。この発明品は博士が開発したのですから!」


「そうだよね! そうだよね! うわぁ。自分で作った発明品に名前を付けるのって夢だったんだよね。あっ、もちろん半分は助手くんの功績があってこそだからね!」


 こうやってちゃんと助手の功績も立ててくれるのってズルいよなぁ。

 こんなん……好きになるやん……

 

「い、いいから、早く名付けしてくださいよ」


 これ以上顔を近付けられるとさすがに心臓が持たないので俺は自分から距離を取った。

 が、博士は再度距離を詰めてきて目を輝かせながら発明品の名前を口にした。


「決めた! この発明品の名前は——好感度見えるクンよ!」


 博士は間違いなく天才なんだけど、ネーミングセンスだけは小学生並のレベルになるみたいだった。







 『好感度見えるクン』

 一見ただの眼鏡にしか見えないが、耳掛けの所にボタンがあり、それを押すと自分への好感度が数値化されて浮かび上がる。

 まさに全世界の人類が欲しがるであろう発明品を博士は生み出してしまったのだ。


「はかせ! 早速検証してみたいです!」


「いいでしょう。さあ助手くん、この眼鏡を掛けて知り合いの好感度を見まくってしまいなさい!」


 博士から好感度見えるクンを手渡され、俺は早速スイッチを入れる。

 俺が好感度を見たい人——それは目の前にいる。

 博士……俺に対してどれくらいの好感度を持っていてくれているのかな……

 もし一桁とかだったらへこむよ。さすがに。


「どれどれ……」


 眼鏡を通じて博士の顔をじっと見る。

 ぼわっと数字が頭の上に浮かび上がっていた。


「~~~~っ!?」


 数字が……浮かび上がっている。

 浮かび上がって……いるけど……


「どう!? どう!? ちゃんと数字浮かび上がっている!? 私達の発明品ちゃんと正常に動作してる!?」


「い、いや、んと、えと……」


「もー! 何よ!? 成功したの!? 失敗したの!?」


 ぷりぷり怒りながら顔を近付けてくる博士。

 ち、近い近い!

 

「~~~~っ」


「もー! 貸して! 自分で確かめるから!」


「あっ!?」


 バッと眼鏡を剥ぎ取られ、博士がスチャと装着する。

 同時に好感度メータースイッチもオンにして俺の顔を覗き見る。


「ファッ!?」


「ど、どうです……?」


「…………」


 先ほどの俺と同じように言葉を失っている。


「に……」


「に?」


「にひゃく……」


 にひゃく? 200ってことか。

 それが俺から博士への好感度の数値か。


「……万」


「~~!?」


「じょ、助手くん。わ、私への好感度、200万もあるんだ。ふ、ふ~ん」


「な、何ですか!? 悪いですか!?」


「わ、悪くはないよ? えへへ。そっかぁ。助手くんちょっと私のこと好き過ぎじゃな~い?」


「そういう博士こそ俺のこと好き過ぎなんじゃないですか!? 俺への好感度1300万のくせに!」


「ファ――――!?」


「そうなんですね。博士。俺のことそんなに好きだったんですね」


「ち、ちちち違うよ!? い、いや、そんなに違くはないけど、さすがに好感度数値過剰だから!」


「ふーん。じゃあ実際は俺への好感度はどれくらいなんです?」


「そ、それは……」


「それは?」


「せ、1000……万……くらい?」


「……えっ?」


「い、今の無し!! 違うから! 助手くんへの好感度なんて1000くらいですよーだ! ばーかばーか!」


 まるで天才みが感じられない語彙で俺を罵倒すると、博士は涙目になりながら両手で顔を抑えて蹲ってしまった。

 顔を真っ赤にしている博士にちょっぴり萌えてしまったのは内緒だ。


「(博士、俺への好感度1000もあるのか。1000。1000かぁ。うへへ)」


「人の顔を見ながらニヤニヤしないの! もう好感度チェックはおしまい! 助手くん、次! 次の発明品の開発に取り掛かるからね! 今日は帰れると思うなよ!」


「はい! 博士と一緒にワンナイト過ごします」


「~~~~! もぅ~~~~!!」


 二人きりの研修室は今日も騒がしい。

 そしてちょっぴり桃色な空気が漂っていた。

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2025年1月10日 07:00
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