祝い風・悼み風
烏目浩輔
第一話
ぼくはちょくちょく実話系の怪談や奇譚を書くのだが、それらはすべて
今回の奇譚も例によって他者の経験談であり、大石
大石さんは友人から紹介してもらった方で、お互いの仕事が休みの日に、『喫茶ランプ』という店で待ち合わせをした。
喫茶ランプは雑居ビルの一階で営業しているこじんまりとした喫茶店だ。テーブル席とカウンター席が共に四つずつあり、
ぼくたちは壁際のテーブル席に着いて、ぼくはアイス珈琲、大石さんはアイスレモンティを注文した。それらがテーブルに運ばれてきてから、ICレコーダーをオンにし、大石さんの話を聞かせてもらった。
ただし、その話は大石さん自身の体験談ではなく、彼女がまだ中学生だったときに、祖母のフサさんから聞かされた話であるらしい。
しかも、フサさんが十代の頃に経験したことだというから、戦前にまで遡るずっとずっと昔の話なのだった。つまりは何十年も前に起きた出来事の又聞きになる。
そういった事情があるため、詳細が判然としない部分もあるのだが、大石さんに聞いた話を以下にまとめてみようと思う。
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