メカ娘、アーマー纏って今日も行くッ!

最悪な贈り物

プロローグ

『距離、約2000m』

機械音声がヘルメットのような顔を覆う装備の中に響く。


背中からは、火が噴出し空に雲の線を引く。


暗闇の広がった空に、鉄の羽を広げ音速で移動する。


両足両肩には四角い鉄の箱。分厚い黒くペイントされた装甲に包まれている箱の中身は、ミサイルである。


30mm弾小型追尾ミサイル。

前腕にはインパクト収束アックスを備えたアーム。

背中にジェットブースターを備え、そして、身長の高いとも低いとも言えない女が、長い髪を顔の見えないヘルメットからはみ出させている。


白くなびくそのロングヘアーと、赤く光るブースターから噴出されるジェット。


そして背中から飛び出ている黒い鳥のような形をした翼。


『対象まで100m。攻撃を開始してください。』

機械音声がヘルメットに響き、ブースターがぴたりと止まり、残るは、手足、腰部、胸、肩につけられた装甲の小さな点滅等だけ。


黒い翼を広げ、雲を切り裂く。

雲の下には大きなビル群と、巨大な白い巨人が街中を歩く。


白い髪の少女は、前腕からアームを外し、そして大きな緑色の光のラインが走る両手持ち型の斧に変形させた。


そして、黒い翼を展開し、肩や足につけられたミサイルボックスから、ミサイルが合計で40発ほど飛び出した。


空間を切り裂き、白い巨人…いや、神の関節部分を襲う。


足や腕の関節部分にそのミサイルが直撃すると、神は、体制を崩し、ビルに体重をかけながら膝立ちになる。


その隙を狙い、アーマーで包まれた少女は、インパクト収束アックスを強く握り、ジェットブースターから火を吹かせ、神の頭部、目指して振り下ろす。


そして、衝撃が斧から神の頭部へと伝わり、一瞬で頭、体、地面と、波が広がって、神は血を吹き上げ、内臓を曝け出しながら、ぐちゃぐちゃ死体といった感じに崩れた。


少女は、黒い羽と、背中の火で、再び飛び上がり、堕天使のような血に染まった見た目で、どこかのビルの屋上へと立つ。


『防護ヘルメットのロックを解除します。』

機械音声がなり、ヘルメットのロックが解除されると、それを抱えて、血に染まった道路を見下す。


片手には、緑色のクリスタルのようなものをいつの間にか握っていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る