第2話 ねぇ、先生。他の子にも同じことしているの?
目を覚ました。天井のシーリングファンを見つけ、眺めていると目が回りそうだった。
そんな状態から解放されるために、横を見ると肩が素肌な女性がいた。
……………はて。
すると脳裏に記憶が駆け巡ってきた。
ヤバいヤバい。僕、担任の女教師の
そしたら歌美先生が、
「うーん」
と言いながら寝返りをうってきた。
白い素肌で素っ裸の先生は、とても蠱惑的で官能さが露見していた。
やばすぎる。
歌見先生はニコッと微笑んで、
「大丈夫?」
と言ってきた。そのことに困惑してしまう。何て言えばいいんだろう、こんな場面のときは。気の効いた台詞の一つも言えないのか自分は。
「先生・・・・・・大好きです」
「じゃあ、もう一回する?」
そう冗談めかして言ってくる先生の態度に、我慢できなくなった僕は先生を襲う。
このあとめちゃくちゃセックスした。
制服に着替えた僕。その後ろでは既に着替えを済ませた歌見先生が煙草を吸っている。
「そういえば先生、どうして僕なんですか?」
「ん? どういうこと?」
「わざわざ学生でなくても、先生なら良い相手がたくさんいそうですよ」
「確かにそうね」
「否定しないんすね」僕は苦笑した。
そうすると先生が煙草を携帯灰皿に潰し、僕の頬をそっと撫でてくる。
「若くてウブな子が好きなのよ」
「例え犯罪でも?」
未成年への性行為は立派な犯罪だ。
だが犯罪と聞いても先生は顔色一つ変えることなかった。
「愉しいからな。人間は快楽には逆らえない生き物なんだよ。私はもう、未成年とのセックスでしか濡れないんだ。お前も気持ちよかっただろ?」
「そりゃあ、正直に言えば気持ちよかったですけど。先生が手慣れていたんで。リードしてくれたから。・・・・・・まさかですけど、他の学生にも同じことをしているんですか?」
「嫉妬しているのか?」
「まさか、単純な興味ですよ」
嘘だ。もし先生が他の学生ともセックスをしているのなら、嫉妬狂いしてしまうだろう。
それほどまでに、このヤニカス教師に虜になったのだ。それが良いことなのか悪いことなのかはさておいて。
「なら、想像に任せるよ」
「どういう意味ですか?」
先生は二本目の煙草に火を付けた。紫煙を吐き出し、少し穿った眼でこちらを見つめてくる。
「お前が正直に女性と話せるようになったら、答えを教えてやる」
僕はその言葉への返答を見つけることが出来なくて、下唇を噛んだ。
それから数分。先生が喫煙を終わらせ、大きく伸びをした後、「帰ろっか」と呟いた。
僕は頷いた。
ホテルから出る時は細心の注意を払って、それから先生とは別れた。
そこから徒歩数十分の圏内の自宅に帰宅する。
「ただいまー」
「おかえり」
その声で僕の体は一瞬にして緊張が走った。
エプロン姿の同級生、鮫島・K・アスカがいたのだ。手には包丁を持っている。
――先日、僕に告白をしてきたのが彼女だ。
「……あんたのこと、好きなんだよね」
そう告白をされ、僕はきっぱりと断った。
だって同級生のことをそういう目で見れねえんだもん。
「なんでここにいるんだよ」
「いや、言葉で駄目なら胃袋を掴もうかな、って」
アスカは、学園のマドンナと言われているらしい。(僕は全くそうは思えないが)容姿端麗、博学多才、文武両道。そんな人を褒めたたえる慣用句を挙げだしたらきりがないとも囁かれている。(いや、終わりはあるだろ。慣用句なんて少ないんだし)
彼女の容姿は、銀髪のボブカットに豊満な胸。女子にしては高い背丈。(165センチはあるんじゃないだろうか)ちなみにドイツ人と日本人のハーフだ。
だからこそ、先ほど言ったように学園での人気、知名度はバカ高い。
でも、なんでそんな人が僕みたいななんの取柄もない男を選んだんだろう。まあ、玉砕しているけどね。
「今日は麻婆豆腐ですよ」
「へえ、麻婆豆腐……」
食卓へと向かうと意気揚々としている母と、なんだか落ち着きのない父がいた。
……母さんはともかく、父さんは変な行動しないでくれよ。
僕はアスカが作ってくれた麻婆豆腐をひと口食べる。すると舌の上を激痛が走った。まさか、毒か……?
そしたらアスカが僕の耳元で囁いてくる。「どう、私をフッた罰だよ。デスソース入り激辛麻婆でしっかり反省してね」
「そ、そういうところが嫌いなんだよ……」
「ん、なんか言った?」
「いえ、なにも言ってません——」
こうして、彼女からの復讐を受ける日々が始まった。
これは童貞を卒業した僕が、恋人になる告白を反故にした女子からの復讐の物語。
なんてことはまるでない。
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