第2話東方の冒険 筆おろし

和国にある国のひとつ工戸公国、その公都サガミにある公爵邸では公爵夫人であるサヤが、聖城京にいる夫のナグル・カイザンから届いた手紙を読んでいる。

「そうなの? 」

「はい、間違いありません」

報告に来た執事長が頷くのを見て、サヤは考え込んだ。

「……だったらどうして? 」

「わかりません。ただ……」

言葉を濁した執事長をサヤは見上げる。彼はサヤの傍で長年仕えている者だ。

そんな彼の表情に不安を感じ取り、サヤは何事かと彼に問いかけた。

「どうして? 私が息子の筆おろしの相手をしないといけないのかしら?」

サヤは息子には既に婚約者候補がいることを執事長から聞いていた。息子がもうすぐ15歳になり成人する事も。

サヤの息子は、公爵領を治めるカイザン公爵家の後継者だ。その為に息子には婚約候補の令嬢が何人かいる。

だが、成人後すぐの息子の筆おろしをするのは、乳母の役目だと思っていたのだ。

だが、それは間違いだったのだろうか? そんな不安がサヤの胸の中に広がっていく。

「いえ、それは……ただ……」

「何なの? はっきり言いなさい」

言い淀む執事長にサヤは苛立って彼を責め立てた。

「は、はい……カイザン公爵家では5代前の跡継ぎが成人後すぐの筆おろしの時、乳母が手引きした野盗に暴行された後、殺害され全裸で広場のモニメントに磔に

され、その後、野盗に輪されて死亡したと伝えられています。その為に公爵家では、成人後すぐの筆おろしは、必ず実母がする事になっていると」

執事長の説明を聞いてサヤは絶句するしかなかった。

「そんな……でも、どうして? 」

「はい、それは……」

執事長はサヤの問いに答えず、また言葉を濁した。

「何なの? はっきり言いなさい! そんな重要な事なのでしょう? 」

サヤはさらに執事長を問い詰めた。

「はい、実は……殺された跡継ぎの弟が性豪で娼婦5人を相手に筆おろしふたり孕ませたと……」

執事長の話にサヤは怒りを爆発させた。

「何なの? その馬鹿息子は! 」

「はい、本当に」

執事長はサヤに同意するが、彼はその事には触れなかった。

「それで、私はどうすればいいの?息子の、エドの筆おろしだけでいいの?

それともエドが結婚するまでしたほうがいいの? 」

「いえ、その……」

サヤは自分が抱いた疑問を執事長にぶつけた。執事長の返事は曖昧だった。

「はっきり言いなさい!私が相手をしなければならないのは、1日だけなの? 」

サヤは執事長に答えを迫る。だが、彼は答えられなかった。

「そう……そうなのね……わかったわ。私は息子の筆おろしだけをするわ」

サヤは諦めた。大事な息子を殺されたくない思い出。

そして、自分の息子は、そんな馬鹿息子とは違うと信じたかった。

「はい、わかりました」

執事長は一礼をすると部屋を出ていく。

「そうよね……私が相手するのね……」

サヤはひとりになった部屋の中で呟いた。

「エドの筆おろしだけしてればいいわ」と自分に言い聞かせるが、不安は拭えない。

だが、サヤは公爵夫人としてこの公国を夫であるナグルと共に治めなければならないのだ。その責務が彼女に重く圧し掛かってくる。

「私が頑張って、この国を良くしないと……」

サヤは不安を押し殺すと、自分を奮い立たせるように呟いた。

そして、彼女は息子のエドが成人するまでの間、彼の筆おろしの相手をする為に、淫らな下着と衣装を作らせ肢体を磨き始めるのであった。

エドが成人した夜、サヤは息子の寝室にいた。

彼女は、媚薬を飲んだあと彼の筆おろしの相手する為に淫らな下着と衣装を身に付けている。

「エドワード、起きている?」

エドの寝室を訪れたサヤは、寝ているエドに声を掛けた。一夜限りの情交の為に

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