董卓の新酒

風馬

第1話

時は後漢末年、権力を握る董卓は、常に酒に溺れていた。彼の酒好きは有名で、部下たちはその酒量に恐れをなしていた。ある日、董卓は自らの酒蔵を訪れ、軍師の李儒に新しい酒のアイデアを求めた。


「李儒、我が新しい酒を作りたい。何か良い案はないか?」董卓は酔っ払いながら言った。


「殿、酒はお好きですが、飲みすぎは健康に良くありません」と李儒は冷静に答えた。


「健康などどうでもいい!我が酒を飲みたいのだ!」董卓は叫び、酒樽を叩いた。


李儒は困った顔をしながら考えた。「それなら、特別な酒を作りましょう。名付けて『忘却の酒』。飲むと全ての悩みを忘れられる酒です!」


董卓は目を輝かせた。「それは素晴らしい!すぐに作れ!」


李儒は急いで酒造りを始めた。彼は様々な材料を集め、特別な酵母を使って新しい酒を醸造した。数日後、ついに『忘却の酒』が完成した。


「殿、これが『忘却の酒』です!」李儒は自信満々に酒を差し出した。


董卓は一口飲んでみると、すぐに顔を赤らめた。「これは…最高の酒だ!もっと飲ませろ!」


その後、董卓は次々と酒を飲み干し、酔っ払ってしまった。彼は自らの権力や敵のことをすっかり忘れ、ただ楽しい時間を過ごした。


「李儒、我が軍の計画はどうなった?」董卓はふと我に返った。


「殿、計画は順調です…が、昨日のことをすっかり忘れてしまいました」と李儒は苦笑いを浮かべた。


「何?昨日のことを忘れた?それは困るな!」董卓は頭を抱えた。


「でも、殿、忘却の酒ですから…」李儒は言い訳をしたが、董卓は怒り出した。


「我が軍が敵に攻め込む計画を忘れるとは何事だ!お前は無能か!」董卓は李儒を責め立てた。


「申し訳ありません、殿。新しい計画を立てましょう!」李儒は必死に言った。


その後、李儒は急いで新しい計画を立て、董卓に説明した。しかし、董卓は再び酒を飲みすぎてしまい、またしても計画を忘れてしまった。


「李儒、我が軍はどこに攻め込むのだ?」董卓は再び尋ねた。


「殿、今度は敵の本拠地です!」李儒は焦りながら答えた。


「本拠地か!それは良い!だが、我は酒が飲みたい!」董卓は酒樽に向かって突進した。


李儒は頭を抱えた。彼は董卓の酒好きに振り回されながらも、何とか彼を支え続けた。結局、董卓はその日も酔っ払い、計画はまたもや忘れ去られた。


「李儒、我が新しい酒は最高だな!」董卓は笑いながら言った。


「殿、酒は良いですが、計画も大事です…」李儒はため息をついた。


こうして、董卓の新酒『忘却の酒』は、彼の酔っ払い生活をさらに加速させることになった。李儒は頭を抱えながらも、彼の軍師としての役割を果たすため、日々奮闘するのだった。

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