第4話 愛されたい

翠との情事は凄くゆったりしている。


がっつかれるのが嫌いな彼女と

『待て』と『おあづけ』が嫌いな僕。


今にも遠吠えしそうな僕を見て吹き出しで笑い出す。


彼女は爪の先で僕を撫で回して煽りに煽る。

僕は僕でその手が好きでもっと欲しいと強請ねだる。



煽りの中で僕にキスして、また笑う。

妖艶な彼女も好き。少女の様な彼女も好き。


彼女がくれる一つ一つが好き。

手枷足枷、首輪にリードは当たり前。


でも最近はその全てが無くていいとも思う。

彼女の足元で彼女の目を浴びれれば幸せ…。


また少し変わったのは、不安だから言うようにした。


「…あのさ。」

「ん?なに?」

「…このまま死にたい。」

「どうして?」

「…幸せだから。今が一番幸せだから。」

「私も。今が一番幸せ。あんたの口からそれを聞けた。だから私も幸せ…。」


「…キスしていい?」

「ダメ。」


彼女は僕の上に乗って唇を重ねた。


「…伝わるかしら?繋がることが全てじゃないの。震えるほど幸せで、抱きしめあっても幸せで…このまま溶けてしまいそうだと感じる…。この感覚、貴方にわかる?」

「今ならわかる。…でもキスだけでもいい。何かしら触れ合ってたい。翠の温度を感じたい。」

「……幸せ。」


彼女はわかっている。

本当は乱暴な求め方が苦手な事。

どこまでも上品に…時間をかけて…溶け合いたい、いや、溶けさせて欲しいことを。


僕は最初から最後まで求められたい。

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