オタクに優しいギャル、聖女に召喚される〜あーしが異世界召喚とかやばぁくてウケるし、あーしを召喚した聖女さんはちょーかぁいいねぇー〜
こーぼーさつき
第1話
「オタクくんたち今日もゲームやってんのー?」
クラスの端っこでスマホを触ってるオタクくんたちに声をかけた。オタクくんたちは私が声をかけるといつもビクッと震えるからちょーウケる。
「きょ、今日は……ゲームじゃなくてですね、アニメの鑑賞会をしているんですよ」
「アニメの鑑賞会ー? スマホでー? サブスクとかー?」
「はい」
「ウケるー。あーしも観ていいー?」
「え、いや……」
「
「ぼ、僕たちオタクには面白いって思えるけど。橘さんみたいな全世界に優しい系のギャルには見てもつまんないんじゃないかなと」
なんかあーし、知らないうちに全世界に優しい系のギャルっていうカテゴライズされててウケるんですけど。たしかにー、金髪だし、化粧してるし、スカート短くしちゃてんし、ネイルとかもバチバチだし、ギャルなのはー、別に否定しないってかー、むしろ自覚だらけだしー、そーかなーって思ってたけどー。全世界に優しいって評価はなんていうかー結構照れるなーって感じだしー。マジやばぁい。
「あーし、アニメ結構観てたしー」
「え、ほ、ほんとですか! ど、どんなアニメを……」
オタクくん、目すんごい輝いててウケる。目くりっくりですっごー。かぁいい。
「ちっちゃーいころに魔法少女とか観てたよ。プリキ〇アー、がんばえーってマジやばぁいくらいにガチで応援してたし。映画館とかも行ったし」
「ぼ、僕も観てますよ。この前始まった新しいやつとか僕の好きな声優さんが抜擢されててついに推しがプリキ〇ア声優になったって感激しましたし!」
「んー、あーし、最近のはわかんなぁーい」
「ほら。住む世界が違うんだって。橘さんはもうアニメを卒業してんだよ」
「そんなことなくないー? ほら同じ空気吸ってるしー」
「そういうことじゃないんですけど……まぁ、そんなに観たいなら観ます?」
「まじー? やばぁ。あんがとー」
譲ってもらっちゃった椅子に座って、アニメを視聴する。
異世界で冒険するお話らしい。なんだかんだ見入っちゃった。一話が終わったのと同時にチャイムが鳴って打ち切りになる。面白かったし、続きが気になるからオタクくんたちにアニメのタイトルを聞いたんだけど。なんかすんごく長いタイトルで覚えられなかった。
休み時間。
「
教室で次の授業の準備をしていると、何年もの付き合いにもなるガチギャルの幼馴染が少しだけ不満そうに声をかけてくる。
「どーゆことー?」
「ほらさっきもあのオタクたちと仲良さそうに話してたじゃん」
「あーねー」
「あーねーじゃなくてぇ」
「ダメなのー?」
首を傾げる。
「ダメっていうか……」
「いうかー?」
「オタクはオタクでしょ。ウチらとは生きる世界が違うから……」
「それさっきオタクくんたちも言ってたけどー、いまいちわかんなぁい。生きてる世界はおんなじじゃーん? なのに違うって……」
「だってほらオタクじゃん」
「オタクってだめぇ? あーしは別にオタクいーなーって思うよー。だってぇー、好きなことに一直線ってー、かっこいーじゃん?」
オタクだからとか、ギャルだからとかそういうのってーなんだろーって思う。個性じゃんねー。どっかから「オタクに優しいギャルだ」という声が聞こえてくる。ウケる。オタクに優しいギャルってなんだし、オタクに優しくないギャルの方がおかしいっしょー。
◆◇◆◇◆◇
帰り道。
ひとりで歩く。
突然。なんにも前触れもなく、あーしの全身を光が包み込む。なんかやばぁって感じ。朝、オタクくんたちがみせてくれたアニメと似たような展開。あのアニメは日本人がこんな感じで光に包まれて異世界に転移するところから始まった。
「もしかしてぇ、あーしも異世界行っちゃう感じぃ?」
光で目がやられた。
ううっって目を両手で覆う。
しばらくしてからゆっくりと目を開ける。
さっきまで歩いていたところとは全然違う、謎の空間に飛ばされていた。
目の前にはすんごくかぁいいお姉さんっぽい女性がいて、ちらっと窓の外を見ると空にドラゴン? のようなすんごい大きくてごつくいやばぁって感じの動物が飛んでて、あーしの足元には魔法陣みたいなすんごいエグいものが描かれていた。
「すんごぉ、なにこれぇ。ウケるんだけど。ストーリー上げちゃお〜」
スマホを取り出してインスタのストーリーにこのやばぁな光景を載せようとおもぅたんだけど〜、電波が繋がんなくてアップロードできない。
「圏外じゃーん、もしかしてぇー、あーしほんとーに異世界来ちゃった感じぃ? それならちょーウケる」
「初めまして。セレスティアと申します。我が国エリシアは未曾有の危機に陥っており、世界を救っていただくために召喚させて頂きました。まずは勝手に召喚してしまったこと謝罪させてください」
「なんでもいーよー。てか、あーしを召還? ってことはやっぱりここ異世界じゃーん。すんごー、やばぁ」
「世界を救っていただけると。お力をお借りできると。そういう認識で……」
「いーやー、そーゆーのはあーしには無理かなぁ」
「えっ」
「だってぇ、あーしにはそーゆーの向いてないから」
異世界を救うとかそんな重たいこと無理だしぃ。
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