第3話:同棲じゃなくて同居。

俺はバイクを飛ばした・・・めいっぱいアクセル捻って・・・。

で、後ろを振り向いたら、必死で俺の後を追って来てるリップがいた。


その光景を見た瞬間、俺はバイクを止めた。

俺の心にこみ上げるものがあったからだ・・・それは哀れって思ったのか

可哀想って思ったのか?どっちにしてもリップを置いては帰れないと思った。


「降りておいで・・・」


リップは申し訳なさそうに俺の前に降りてきた。


「分かった・・・俺が悪かった・・・俺のマンションに一緒に帰ろう?」

「にしたって驚いた、リップ宙を飛べるんだ・・・」


「私の背中にアクセラレーターって円盤状のアイテムが現れて、それで宙に

浮けるの・・・少しは飛べるし・・・」


「そうなんだ・・・え?だったら自分の星に飛んで帰れるじゃん」

「そんなに遠くへは飛べないの・・・私途中で宇宙の藻屑になっっちゃうよ」


「なるほどな・・・」


「ほんと?ごめんね・・・私美味しいご飯作るから」


「しょうがないよな・・・」

「ところでさっきリップ未成年って言ったけど・・・何歳?」


「15歳だよ」


「じゅ、じゅうご?・・・中学生じゃん・・・まずいじゃん」

「まじでマンションに一人もんが未成年連れ込むなんてよくないんだけどな・・・」

「あのさ、リップ・・・マンションには連れて帰るけど・・・無理してお返しなんて考えなくていいからな」


未成年なんか相手したら青少年保護法ってのにひっかかっちゃうよ。

魔が差して、やっちゃってそんなことでとっ捕まって人生棒に振りたくないからさ。


「もう飛ばなくていいから・・・バイクの後ろに乗れ」

「うん、行っちゃうの?・・・ハルキちゃんのマンションとやらに・・・」


「落っこちないようにちゃんと俺に掴まってろよ」


な訳で行くところがない哀れな異星人、リップ・・・。

可愛い彼女を見捨てられなくて俺はマンションに彼女を連れて帰ることにした。

迷子の子猫ちゃんを放っておけなくて・・・。


でも、ずっと部屋に閉じ込めておくわけにもいかないよな。

向かいの人や棟の人にいつかは絶対気づかれるだろうから、とりあえず

聞かれたら田舎から出てきた妹ってことにしとこう。


特に俺の向かいの女・・・水商売やってて、時々自分の部屋に帰らずに俺の

部屋のドアをドンドン叩くんだよな。


リップはどう見ても俺とは違うビジュアルだから怪しまれるかもしれないけど、

妹で押し通すかしかないよな・・・彼女なんて言えないし。


なことを思ってるうちのマンションに帰って来てしまった。


「バイク仕舞って来るから・・・そこ、二階の部屋の入り口で待ってな」


さて、俺は関わりたくなかった異星人を期せずして部屋に連れ込んでしまった。

この流れも不可応力か。


「入って・・・これから俺の部屋好きに使っていいからな」


「今日からハルキちゃんと同棲だね」


「同棲ってのは恋人どうしだろ?・・・この場合は居候・・・同居だよ」


「同棲だよ・・・私、ハルキちゃんの彼女なんだから・・・」

「それはリップが勝手に言ってるだけだろ?・・・俺はまだ認めてないからな」


「冷たいねハルキちゃん・・・でも私メゲないから・・・」


打たれ強い女・・・やっぱり連れて帰ったのは間違いだったかな。

ま、いまさら出て行けとも言えないし・・・。


だから一応部屋の間取りだ教えておいた。

まあ、修学旅行なんてある星だから生活環境は地球と似てるに違いないから

家の間取りもさして変わんないだろ?

トイレと風呂の使い方だけ教えておこうと思ったら、静止された。


使い方くらい分かってるって言いながらリップは水栓用の水タンクの方を

向いて便座に座った。

まあ、それでもできなくないけどな・・・それがいいなら好きにしたらいい。

リップの星じゃ〜そうなんだろう。


風呂にいたっては二人で一緒に入れば分かるからって言われた。

え?一緒に入るのか?・・・異星人の女と?


風呂から出たらさっそくお返ししなくちゃねって言われた。

まだ言ってる・・・。

つまりエッチさせてくれるって意思表示だよな・・・。


俺が変質的スケベで変態男だったらリップは俺にエッチなことされて

泣きながら自分の星に帰っちゃうんだろうな・・・やっちゃおうかな?

なことしたって帰れないか?


それは冗談だけど、まじ中学生相手にエッチなんかできる訳ない。

俺は人間の彼女がいいんだ。


つづく。


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