第8話 入国拒否

「…うそ…でしょ?」

ニュースでは見ていたが、自分も鈴木のいる場所からは離れていたため他人事とみている節があった。しかし、一変して自分たちの生活の中に入ってきた。

記事を開くと、そこには衝撃的な内容が書かれていた。海外で発生した新たな変異種の感染拡大を受け、日本政府は急遽、入国制限を強化することを決定。対象国には、鈴木の滞在国も含まれていた。


鈴木が帰国できない。慌てて連絡を取る

「鈴木、大丈夫?そちらの状況はどうなっている?」

「大丈夫。普段の生活に支障はないけれど、帰国はしばらく出来そうにないかな」


幸いニュースで取り上げられるようなパニックにはなっていないという。その日から、早苗は毎日ニュースをチェックするようになった。入国制限の情報はもちろん、感染状況や各国の対応など、あらゆる情報を集めた。

数日後、政府から正式な発表があった。入国制限は強化されることになり、鈴木の一時帰国は、事実上不可能になった。



その夜、早苗は鈴木とビデオ通話をした。画面に映る鈴木は、少し疲れた顔をしていたが、早苗に心配をかけないように、努めて明るく振る舞っていた。

「残念だけど、仕方ないね」鈴木はそう言った。

早苗は、頷くことしかできなかった。その後も、二人は変わらず連絡を取り合った。以前よりも、メッセージのやり取りが増えた。


お互いの日常を報告し合い、他愛のない話をする。会えなくなったのは寂しかったが遠く離れていても、心の距離は縮まっているように感じていた。












早苗も、家にいる時間が増えて料理をするようになり、最近は餃子やシュウマイを手作りしてストックしていることなどを話した。


暗い話題は出さず、明るくなるように少し大袈裟にして談笑を楽しんでいた。


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