家から出たくないから、私の代わりにスライムが行く。

@Ud_Udon

スライム、あれ取って。

1.私、天才!!

「掃除、洗濯、棚の整理!忙しすぎるよ!」

私のマンドラゴラより悲痛な叫び声が家中に響く。


私のような天才錬金術師には何でもやってくれる素晴らしい弟子がいるべきだろう。

しかし私は駆け出し錬金術師。いかに天才級の技術を持っていても無名である。

この街に1つしか無い錬金術師常在の店なのに、ほとんどの人は素通りしてしまうのだ。


こんな状況を生み出しているのは、客がいないからだ。客が来ないから評判が広まらず、客が来ない。完璧な理論だ。

常連も無口な狩人の友人と変なストーカー女くらいしかいないため、評判が広まらないのだ。ストーカーがヤニカスだから、アイツのせいで客が来ないのかもしれない。でも1番いろいろ買っていくのもソイツだから追い出せない。


客がいないから金が無い。

ならば客寄せのためにサクラを雇おう。天才は、そう考えた。しかし雇う金がない。客がいないから。


だが、私は知っている!スライムという便利生物がいることを!調教は簡単、餌も生ゴミで良い、何より生物に擬態できる、最高の生物を!私は昨日、友人から聞いたのだ!

こいつにいろいろ教えて、面倒なことを押し付けよう!皮算用を始めた結果、メリットのほうが明らかに大きい。今日は休んで明日捕獲しに出かける!


〜2日後〜


今日はスライムを捕獲し、私に絶対に服従するようになる魔法を刻み込む日だ!

よって昼、起きてすぐに昼食を食べ家を出る。

今日は店を休業日とする。これで連続記録更新だ。

森にいるスライムは質がいいという情報を掴んだ私は、森でスライムを探す。

ゴブリンやウルフをかき分け、空も暗くなってきたころ、やっとピュアピュア緑色のスライムを見つけることができた。

「怖くないよ。お菓子あげるからこっちおいで。」

とでも言えば言葉を理解しているのかしていないのかこちらへペタペタ寄ってくる。

そこで即座に右手を突き出し洗脳魔法発動!

私にしたがえ〜!


【トレード成立!】

右腕⇔永遠の服従


こうして、スライムを捕まえることができた。

疲れたので明日は店を開けなくていいだろう。

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