第33話 心は臆病者で、思考も臆病者でしかない

 サーシャ視点


 私は恐怖している。

「結局のところ、私は彼に助けられてばかり」


 結局過去と変わらず、目の前の戦いが怖い。私は戦いの中で被害を受けた......でも彼のように戦うことができない。この戦いを恐怖で客観的に見てしまっている。それが私と彼の差なのかもしれない。今だって、こんな言葉の渦で現状を理解したつもりになって具体的な事を何もしていない。彼を守りたいと思っているのは本当なのか?そんな、私のことを否定する言葉が浮かんでくる。


「私は、守りたいだけ?」

 そんなことは、あり得ない私は、私は結局恩を返したいだけで.......それも正しくはない正確には、この借りを返したいだけだ。私は、恩を......恩だと認識できていない。心の中心が叫んでいる、これはあり得ない。

 もしかしたら、恩を与えてくれているだけなのかもしれない。

「ちがう」だが、私は借りを、借りだと思っている。結局自分は後で吹っ掛けられるのが怖いのだ。


「臆病者」

「心も臆病者だよなぁ」

「思考も臆病者そのものだよ、ホント」

「教育者としてダメだろ?」


 それが嫌だから、そうじゃないと証明する手段を持とうとしたのだろう?

 だが、結局今どうなっている。

 水魔法の禁じられたものを学校で教師の権限で、触ってどうなった?





「.......」

 それを人は、認識したくない。今自分は自分を人だと認識することで客観視しようとしている。逃げたい、逃げたい、過去を思い出す。









 だからこそ、別の過去に触れるために自分の中の話題を変えた。





 ___

 彼が戦うのが怖いと知ったのは、彼が病院を退場した後でした。

「しつれいします......」

「......」

 それは、とっさに出てしまった疑問の言葉だった。

「戦うの......怖かった?」


 私は当然のように怖くないと思っているのに違いない。そう勝手にも程があるが想像していた。だが、彼の言葉は私には想像していなかった言葉で「怖いよ......」


 ___





 ......その時は、じゃあなんで戦うのか?そうやって尋ねることはしなかった。

「私は、結局.......彼にも恐怖している」

 なぜ、守ってくれるかわからない。

 なぜ、怖いのかがわからない。

 なぜ、戦うのかが理解できない。


 なぜ、何も返せていないのに.......貸して来るのかが理解できない。

 なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?

 思考は言い訳をしようとして、それが発言に繋がる。

「なぜ、なぜ言いすぎだよな、私は......私で..私は私を私だと思っている。いや何を言ってるんだろうな私は......」

 だが、少しこの思考と発言によって自分を落ち着かせることができた。

 その思考は恐らく、私を自分の中で発言することで、自分は自分であると認識させることをしている。

 断ち切りたいんだよ過去と今求めている思考を、自分の思考の目的は結局彼がどうして、なぜ?いやその言葉は......まあ、とにかく......自分は彼がなんで守ってくれているのかを求めようとしていた。




「過去を思い出す」



 あの時と同じように今出た言葉も、とっさに出てしまった疑問の言葉だった。

「なんで、戦うの?怖いはずじゃないの?そうやって今も......」

 私でも、最低だと思う。守ってくれているのに、そんな言葉を言ってしまうなんて

「どうして、戦ってるの?」


 結局、私は臆病者でしかない。そして、この臆病な思考と心は変えることは出来ない。私は、変わろうと行動を起こすことをしない。




「「「「しゃあっ!!!」」」」

「あぶねぇ......」

 目の前では、私と何も関係がない、そんな彼が今も戦っている。


 自分は私の行動で、何をしたいのかが理解できていない。

 行動によって自分を変えられると言うことに悲観的になっている。

 行動によって自分がなにをしたいのかの表現ができない。

 それは、何をしたいのかが自分で、纏まっていないから。

 場当たり的な行動をし続けてしまうのだろう。それを、自分は心と思考どっちが私に知らせている?



 そんな、思考で目の前を直視せずどこか、架空の物語......劇を本を見るように現状を見続けている。

「どこか、現実味が私の中にないのかもしれないな......」


 心の中が叫んでいる。

 このままでは、ダメだろ。でも、そこの思考で止まり続けている。なぜ、ダメなのかを自分は自分の中で心が決めることができない。思考が心を封じ込めてしまう。


「心は臆病者だ」

 心は思考にすぐさま屈してしまう。

「思考も臆病者だ」

 だって、思考が臆病者そのものだよなんてことを知らされても、変わるなにかをしようとすることを止めるように思考が動いてしまう。


「私の心は臆病者で、思考も臆病者でしかない」


 自分の中で何かが完成したそんな、思考をまとめたものを感覚を受け入れようとしている。

 だが、その思考はやはり......心に止められた。



 ああ、やっぱり心は臆病者で、思考も臆病者でしかない。



 そんな認識が私の中で生まれて......それを、思考と心が認識をどっちも、ミトメナイ。


「結局、自分は変わってくれない」

 結局、変わってくれないなんて、認識は思考と、心どっちも認めてはくれなかった。


 これは現実逃避でしかない。今も目の前から逃げたい、だが、現実逃避は......堂々巡りが続いていく。


「変わってくれないかな?」

 私のことを他人事のように......他人によって救ってほしいと思う。


「きゅうせいしゅ」


 だからこそ、自分は勇気もないから、......目の前のなにか、神々しさを感じる。そんな存在に救いを求めたいのかもしれない。

 死は痛みを伴う......そりゃあ恐怖する。



 だからこそ、自分が死ぬための契約もしたくない。

 臆病者は、恐怖で逃げ出してしまうから。だから、契約せず自分の責任でもなく、理不尽にやさしく包むような死を求めているのだろう?



「きゅうせいしゅにつつんでほしい」





 そんな認識致命的な勘違いが、私の中で完成した。






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