大学院入試を受けに行った話

KOU@

「じゃあ、気をつけてな」

 親の車を降りるときに父から言われた。自分はうぃと感情のない返事をする。

 今日は大学院の受験の日だ。地元の大学の入学試験のため、親に大学まで送ってもらった。普段は県外の別の大学に通っているが大学院で別の大学に行こうと思い、地元の大学を受けることになった。

 本命は別の大学なのだがその大学と現在在籍している大学の試験日程が重なってしまった。一般的に他大学の大学院を受けるときには今いる大学を滑り止めとして受けるのだがことしのぼくはそれができない。仕方なくこの大学を受けに来たというわけだ。

 車を降りた後は大学の中門からキャンパスに入っていった。大きな通りに出たところでスマホで試験会場の場所を確認する。大体の位置を確認して試験会場の方に歩き出した。案内に従って移動していきながら、大体近くについたところであたりを見渡して試験会場の目印となる立て看板を探す。建物の入り口に看板があると思うのだが見つからない。看板を見落としたかと思い後ろを向こうとしたら、同じ年齢くらいの人が歩いていくのを見つけた。見たところ同じ入学試験の受験者のようなので、後ろを行くことにした。ついていったらちゃんと会場に到着できた。ひとまず安心。

 建物に入って自分が受ける研究科の教室に入っていった。人は割と入っていたが席もまばらに空いていてまだ来てない人もいた。試験開始までまだ時間があるが、問題を解き直すには時間が足りないくらいの時間だった。トイレは行かなくても特に大丈夫そうだしスマホでSNSを見ていた。

 絵師さん方のイラストがたくさん流れてきて流し見していた。みんないい絵を描くな~と思いながら画面をスワイプしていく。すると急に水着の女性のイラストが流れてきた。しかも、アクシデントで布が取れる寸前のシチュエーションのイラストである。試験の時期が夏なので、こういうイラストがよく流れてくる。もちろん布が取れそうなイラストも。ちょっと恥ずかしくなってアプリを落としてスマホをポケットに戻した。

 腕時計で時間を確認すると、結構時間が過ぎていた。やはりSNSは時間泥棒である。試験の準備をするためにカバンに手を伸ばす。シャーペンと消しゴムを取り出し、ひとまず試験が受けられるようになった。すると、試験監督の思しき人が教室に入ってきた。問題用紙が入った封筒を持っていたので間違いないだろう。

 今更何か復習しとけば良かったと思い始めた。そして、またスマホを取り出して公式の復習を軽く行った。

 「これより自然科学研究科物理学専攻の試験を行います。」

 試験監督が話し出した。そして、指示に従ってスマホの電源を切り、問題用紙と解答用紙を受け取り試験開始時間まで待っていた。

「それでは、解答を始めてください。」

 試験が始まった。

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