068
ダンジョン内が、少し騒がしくなった。
奴隷たちはお互いに顔を見合わせて、ヒソヒソと言葉を交わしている。
まだ状況を把握できていないのだろう。
市場で数えたとき、奴隷の人数は確かに20人だった。
そこに間違いはない。
だとすると、あの教室からここに来るまでの間に、紛れ込んだということになる。
マルセルも異変に気が付き、一人一人、奴隷を指差しながら数えていった。
「……一人、多いな」
ボソリと呟き、何やら考え始めるマルセル。
顔を上げたかと思うと、マルセルは後ろで控えてきた騎士を手招きした。
振り返ると、呼び出されたらしい騎士は小走りでマルセルのもとへ向かう。
まだ若く、爽やかな見た目の騎士だった。
「二次試験の参加人数は20人のはずだっただろう。誰が増えてるんだ?」
「分かりません。二次試験の参加者を把握しているのはクレア様だけなので……。どうします? 試験を中止にしますか?」
クレアは誰だったか、と考えて、店長であることを思い出した。
「いや、予定が狂うのはあまり好きじゃない。一日ずれれば、別の方面にも迷惑がかかる。同じチームといえど、皆敵同士なんだ。4人チームでも5人チームでも、特に問題はないだろう」
マルセルは奴隷たちに向き直った。
「こちらに手違いがあったようだ。5つあるチームのうちの1チームは、5人で組むようにしろ。……そうだな、一番右端のチームにでも入れてもらえ」
言われて、俺を含めた何人かの奴隷は右端を見た。
そこに座っていたのは、人間と獣人が2人ずつで構成されたチームだった。
俺のチーム同様、4人で円を作っていた。
身体は輪の内側を向いたまま、顔だけは余ったメガネの男の方に向けられている。
メガネの男は遠慮がちに、そのチームの輪に交ざった。
それを確認すると、マルセルは話しだした。
「二次試験は明日……11月6日からスタートとなる」
マルセルは、受付の机においてある時計を指差す。
「長針が24を指した瞬間から、試験開始だ。試験開始の合図はない。くれぐれも、出遅れないように。今日は試験に備えて、しっかりと身体を休めておけ。……私からは以上だ」
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