第10話 下級貴族
殺意の有無は別として、下級貴族とは言え、売春婦を買う行為は咎められるだろう。
とりあえず貴族である以上、不名誉な行いは禁じられる。
殺人、窃盗、強姦などは当然だが、物乞い、売春なども禁じられている。
女を買うなんてのは恥ずべき行為の一つであった。
無論、貴族がそうした欲求を我慢しろとは言わない。
大抵の場合はそうした欲求を晴らすためのメイドを雇ったりする。
そうで無ければ、高級サロンなどにて、隠れて売春行為が斡旋されたりもする。
貴族はそうした形で処理すべきで、平民のありきたりな売春を用いるべきでは無かった。
下級貴族とは言え、売春婦を買っていた事実が露見すれば、爵位のはく奪にも繋がる事態になるかもしれない。
それを避ける為に売春婦の殺害を行ったか。または被害者に脅されたか。
そう考えれば、チャイターが三人の中では一番、容疑が濃厚にもなる。
ただ、こうして容疑者になった事で彼が売春婦を買っていた事実は明らかになってしまい、貴族院からどのような沙汰があるか解らないのだけど。
貴族院とは王国が貴族を管理する為に設けた機関である。
無論、貴族によって、運営されている。その為、かなり贔屓が目立つ組織でもあった。だが、下級貴族はここによって、認められるし、ここによって、はく奪もされる。彼らが恐れるには十分な機関であった。
貴族院には貴族の気品を保つ事を第一とした組織が存在する。
貴族検査部
彼らは日頃から貴族の行動に見張り、何か問題があれば、告発。または処理するのである。
今回の件で面倒なのはこいつらが首を突っ込んでくることだった。
彼らの権利は当然、田舎騎士など大きく超えてくる。
幸いなのは普段は王都にしかいない事だろう。
こんな田舎の領都にまでやって来ないと俺は確信している。
だが、いつまでも事件の解決を先延ばししているとそうも言ってられない事態になる。
俺はチャイターの容疑を最優先に確認する必要があると考えた。
彼の容疑が晴れるもよし、犯人であれば、それでよし。
他の二人の容疑を調べるよりも優先すべきだと考えた。
チャイターは昨晩、屋敷で夕飯を食べて、酒を飲み、朝まで寝たと証言した。
当たり前の日常と言えば、そうなる。
だが、家人も居ない独身者ではアテになる話は何も無い。
まずはチャイターの家宅捜索を決めた。
令状なんてこの世界には無いから、本人から鍵を借り受け、向かうだけだ。
兵士には色々と調べて貰っているので、一人で屋敷に向かった。
屋敷とは言ってみたが、下級貴族程度の屋敷は何とも小さい。
30坪程度の敷地に二階建ての家がある程度。
扉こそ、金属製だが、窓にガラスだって無い。鉄格子がされている程度だ。
扉を開くと、ガランとしている。
家具や調度品は最低限と言ったところ。質素なのは平民上がりだからだろうか。
まずは台所を探す。
メイドや従者は雇っていない雰囲気だ。
家事も自分でやっているのだろう。
昨晩、調理をした形跡は残っていた。
彼が晩飯を食べたのは確実だろう。そして、飲みかけの酒瓶もあった。
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