火事と喧嘩は江戸の花、のお話


住人:大変だ! 親分、隣の通りで喧嘩が!

勘七郎:任せろい! オイラがパパっと解決してやる

町長:街中の噴水におしっこするなんて失礼にも程がある

よそ者:この街は便所以下だ! かかってこいよ?

勘七郎:どうしたい? 

町長:親分、実は5年前まで戦争していた隣国から来たこの者が……

よそ者:どうした汚物ども、俺一人にビビってんのか?

勘七郎:よそ様の街を便所以下ってんなら。オメエの街は綺麗なんだろうな?

よそ者:当たり前だろ、川の水が綺麗な美しい街だ

勘七郎:そいつは勿体ねえ。おめえのような心が汚い奴が住んでるなんてよぅ

よそ者:うっせー、俺は心も綺麗だバーカ

勘七郎:よそ様の街を悪く言うヤツぁ、皆、厠の糞以下だ

よそ者:おらぁ、ぶっ飛ばしてやる

勘七郎:火消しを舐めんな、このすっとこどっこい!

よそ者:ぐはぁ……く、くそっ

勘七郎:バッキャロー、昔のことをいつまで引きずってんじゃねー

よそ者:俺は戦争で兄弟が死んだんだ

勘七郎:戦争ってモンは、どちらもコロコロと死んじまうモンなんだよ

よそ者:しかし、死んだ人間は戻ってこない

勘七郎:その痛みを胸に刻んで新たな未来を切り開くのが生き残ったモンの務めってモンだ。下げたツラじゃ前が見えねぇ、顔を上げてしっかり明日を見やがれ!

よそ者:そう……かもしれんな

勘七郎:心を入れ替えたらまた来な、そんときゃ一杯奢ってやっからよ

よそ者:そんな……俺なんかがまた来ていいのか?

勘七郎:おうよ、次会ったら、おめえさんの美しい街の話でも聞かせてくれや!

よそ者:……ありがとう



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