詩「海辺の石」
有原野分
海辺の石
海辺で
小石を拾った
角の取れていない
小石だった
どこから流れてきたのだろうか
辺りを見回しても
白波しか見えない
なにも聞こえない
小石は
握ると痛かった
手のひらが赤くなった
優しく握っても
どうしても痛かった
捨てるしかないのか
この海に
波の向こう側に
誰かが捨てたように
自分とは違う文化と
違う価値観を持つ誰かに
押しつけるしかないのだろうか
肌の色が違うだけで
資源が少しだけ偏っているだけで
本当に許してくれるだろうか
きっと投げたら
水を叩く
心地のいい音がするだろう
ポチャン と
結局
石は持って帰った
でも石は
濡れたまま
なかなか乾かなかった
詩「海辺の石」 有原野分 @yujiarihara
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