[短編] 仕事帰りのお坊さん

 それはある日の夕方の話だ。私は仕事帰り車で家に帰っていた。

 私が走っていた車道は、周囲に人通りもアパートも有り、車も良く通る場所でありそこら辺はあまり人がいないという印象の所ではない。

しかし、車道の脇におんぼろのアパートがあり、そこに目をやった。

 すると、そのアパートからお坊さんがすっと、そのおんぼろアパートのドアから、外へ出てきたのだ。

(ファッ!?)

 私はその様子にびっくりした。

(坊さんがボロアパートから出てくるなんて珍しいな…)

 私はお坊さんと会う時は大体神社だ。

そもそも神社に行っても外で巫女は見かけるが、お坊さんは本殿の中で閉じこもっており、見た事なかったりする。

 が、ボロアパートからいきなりお坊さんが出てくるなんて、不穏そのもの。

 もしかして、何かお祓いとか…?

…ということは、彼処のアパートは何かいわく付きのアパートだったのだろうか?

 という想像が湧いてくる。

 といいつつも、確かめる術などないから、私は、そのままそこを通り過ぎた。


 すると、後日、そのアパートは取り壊されていた。


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