[ホラー短編集]振り返ってはいけない神社ー男子高校生のぞっとした冒険ー他
亜久津センガ@ホラー
[短編]振り返ってはいけない神社ー男子高校生のぞっとした冒険ー
高校生の男子ー向光ゆうと (こうみつゆうと)、16歳はいつも夏休み中、祖母の家や従兄弟の家に泊まることになっていた。ゆうとの家は祖母の家の近くではなく、従兄弟が祖母の近くに住んでいて、従兄弟の地域は山に囲まれていた。
何故夏休みの期間は二人の家に泊まりに来ているのかというと、ゆうとは実母に祖母の様子をみてきて欲しいと言われているのもあるけれど、ゆうとは自分と同じ歳で、男の従兄弟ー三峨秀頼 (みがひでより)と仲が良かったからだ。
どちらかといえばゆうとが都会暮らし秀頼が山の近くに住んでいる為、田舎暮らしに近い生活をしておりゆうとがスマホを持っていると、何だそれは?と聞いてくるぐらい秀頼は都会の象徴ではないものを知らない生活をしていた。
しかし、秀頼は賢く自然に強い為、かなり山を攻略するのが早い。ゆうとは山の地面に散らばっている岩や所々邪魔をする大きい岩に苦戦するが、秀頼はかなり早いスペースで難なく山を登るのだ。
田舎だと言ったが、その田舎はそこまでの田舎ではない。都心のちょっとした離れにあり、そしてその周辺に山があるような場所に従兄弟の秀頼と祖母の家があった。しかし、二人は祖母からある忠告を受けていた。
『山の頂上にある神社にはできるだけ入るな』
ゆうとと秀頼、二人は小さい頃から自分達の祖母にそのようなことを言われていた。
『と、いってもお前達では行く性分だろうし、よ、…入ってしまう可能性もある』
すると、祖母はよ、と何か言いかけたが、それを隠し再び続けた。
『いいか、絶対にその神社にお詣りした後、振り返っては駄目だぞ』
『『どうして?』』
『絶対だ。その瞬間祟りが起こるからな』
祖母は小さい頃に二人にそう告げていた。
「神社ねえ、そんなもの山の頂上になかったと思うけど」
と、秀頼はゆうとの隣で言った。いつもの通りにゆうとが秀頼に家に泊まりに来て遊んでいる最中の出来事で、現在二人は山に登って遊んでいる為こんな話題が出た。二人、共山に上る用の格好でざくざくと葉っぱの落ちた足場を進んでいっていた。
「そうなのか?じゃあおばあちゃんの昔の話だったのかなあ。あれは」
と、ゆうとは秀頼に言う。
「ああ。俺は何回も山に登ったことがあるが、そんな神社みたいことないし」
と、秀頼は話した。
「別の山の出来事とかそういうことじゃない?」
と、ゆうとは秀頼に返事をする。すると秀頼はそうかもなあ。とかそのような様子だった。すると、その時だった。いつもはもう少し距離がある筈の山の頂上に二人はついた。
「あれ?」
突然の出来事に二人は驚く。
「こんな早かったかな頂上」
と、秀頼は呟く。
「秀頼、なんだあれ?」
と、ゆうとが秀頼に声を掛けると、なんと二人の目の前には神社がぽつんと立っていた。
いつの間にか山の坂から抜けたようで、秀頼とゆうと、二人は普段から登る山と違うルートには入っていた。
しかし、迷うレベルの道ではなく、帰れる程度のルートで、一度秀頼も両親と登ったことがある道なのに、と、秀頼は不思議がった。
「戻るか?秀頼」
「そうだな…」
すると、秀頼は一時期は考え込んでいたけれど何か面白そうな顔をした。
「もしかしてこれがお婆ちゃんが言ってた神社なんじゃないの?山の頂上にあるという」
「え?、これが」
「なあ、ゆうと入ってみようぜ!」
「ええ…!?大丈夫なのか?お婆ちゃんが入ってはいけないと言ったじゃないか?」
「大丈夫だろ!折角だし調べてみよう…ってあれ?」
すると、二人はいつの間にか神社の中に入っていた。
「あれ?俺達話ながら移動した?」
「いや…ま、まあお詣りしてみようか?」
「俺5円持ってないけどなあ」
「形だけで良いだろ」
二人はこの神社にお詣りすることになった。
二人がいつの間にか中に移動した、神社内はボロボロで古かった。
「あんまり神社行かねえからか、俺の記憶力が悪いのか良く分からないがどうやって神社に詣るのかよくわからなくなるよな」
「わかる」
二人はそう話ながら賽銭箱の元まで辿り着く。賽銭箱は古ぼけており苔が生えていた。所々その周りもカビが生えたりなどそのような様子だ。
神社の賽銭箱の近くには、吊り下げられている鈴があったので二人は適当に、順番にガラガラと鈴を鳴らし、お詣りをした。
「じゃあ帰るかー」
と、のんきに秀頼が行ったのでゆうとも同意すると二人は振り返って帰ることにする。暫く二人はそのまま話ながら、神社から出ようとした。
「そういやお詣りした後振り返っちゃいけないんだっけ?」
「そうだった」
二人は祖母の話を覚えていた為、その話を思い出す。
「何でお祖母ちゃんそんなこと言ったんだろな?」
「そうだな特になにも起こらないよなー」
と、二人が同時に立ち止まったそのときだった。
『ジャリ』
ゆうとと秀頼は、自分達が立ち止まった後に石砂利の音が鳴り、ピタッと止まった。
「…ゆうと、なんか音がしなかったか?」
「…ああ」
二人は見合わせた後、又歩いて試してみる。
そして、ジャリジャリ、二人で歩いた後同時に止まると
『ジャリ』
明らかに余分な音が聞こえた。
ーもう一人誰かいる!?
「「うわああああ」」
二人がそれに気付いた時、一目散に走って逃げた。
そして、そのまま神社から出ると、山を下っていって、麓まででた。
すると、後ろには二人の他に誰もおらず、視界が開けた、ちょっとした草原と、二人が通ってきた土が露になった道があるだけだった。
「な、なんだったんだ。さっきの」
二人は息を整えたが、先程の恐怖が舞い込んで、そのまま真っ直ぐお祖母ちゃんちに走って向かった。
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