第11話 塁編

※R15です。


 食後洗い物を終え、浴室に行って蛇口を開く。

それから、かすかに届く水音を聞きながら二人静かに食後のコーヒーを飲んだ。この家で遥と静かに過ごす時間が、もうすっかり自分の一部になっている気がしてくつろいだ気分でいると、なぜか遥はソワソワしていた。

「遥、どした?」

「えっと、その・・・今日も泊まる?」

なるほど、それで落ち着かなかったのか。

「うん。遥が大丈夫ならだけど」

「大丈夫だけど・・・今日もする?」

 ムードもへったくれもないが、ちょっと上目遣いで恥ずかしそうな感じがものすごく刺さる。可愛い。

 正直、昨日の今日でまだ痛みが残っているだろうとは思っていたが、覚えたての時になるべく間をおかず遥を抱いて、抱かれ癖をつけたいというずるい下心があった。

「うん。まだ痛いと思うから挿れなくていいけど、遥のやわらかいとこいっぱいさわりたい。今日は遥が気持ちいいことだけしていい?」

 挿れたい気持ちはもちろんあるが、あまりがっついていると思われたくもない。だがそう言うと、遥は

「じゃあ私にもさせてほしい」

と小さくつぶやいた。願ったりかなったりだ。俺は遥を抱きあげると浴室へ向かった。



 そういうものだと習慣づけさせたいがためのエロ前一緒に風呂タイム。

 考える間を与えないようキスをしかけながら手早く遥の服を脱がせ、スレンダーな肢体を目に焼き付ける。だが寒い。自分もとっとと脱ぐと早々に浴室へ入った。

 椅子に湯をかけると、ちょうどいい湯加減のようでふわりと湯気が舞い上がる。

遥を座らせて足から暖かなお湯をかけてやり、ハンドソープを手に取った。そして始めての時とは異なり、明確な前戯のつもりで遥の身体に触れようとかがみこみかけたその時、何やらブタの鼻形の丸いものを持って、遥が俺の俺に手を伸ばした。

「えっ?遥?」

そのままそっと、兆しはじめた俺のナニを掌に乗せ、ブタの鼻からメジャーを引っ張り出すと、先端にあてる。目の前で繰り広げられるあまりにシュールな光景に俺は思考停止した。

「んーと、9センチ?10.11かな、あれ、塁くん待って。ちっちゃくして」

不満げなその注文に、我に返った。

「できるかーーーー!!」

 下を向くと遥の顔がナニの目の前にある危険な状況に、俺の俺はみるみる膨張してしまう。

 遙はちょっと目を丸くしたあと、一回上目遣いに俺を眺めると、あろうことか先端をぺろりと舐める。当然むくむくと勢いを増した俺の先端は遥の鼻先まで一瞬で立ち上がり、興味津々で見守る遥に鼻キスをかました。不思議そうな顔で遥がそれを握る。

「うっ」

 視覚効果がプラスされたダイレクトな快感に、瞬間腰が抜けかけ理性が宇宙の彼方に飛んでいく。

 目の前の無防備な好物にむしゃぶりつこうとしたその時、ギリギリで頭の中のちゃんとした俺が宇宙の彼方から理性を持ち帰った。

「遥!!待って!!どこでそんなこと覚えてきたっ!!俺は教えてません!!」

ギンギンに立たせたままの説教に、説得力などなかっただろう。しかし幼いころからの習慣がきいたのだろうか。遥はぴたっと動きを止めた。



「日本人の平均は、8センチ、おっきい時で13センチって書いてたけど、盗み見た感じだとそれ以上あるような気がして・・・後学のため測らせてもらおうと思いました」

 うっかりギンギンに膨張した俺に、再度メジャーをあてようとした遥を摘まみ上げ浴槽に放り込んだあとのこと。

 そういえばこいつ最初のお風呂タイムでもサイズにこだわってたなぁ・・・と嫌な予感を覚える。

「いや、いやいや。そのデータをどうすんだよ。まさか記事に」

「・・・・・」

お湯の中で、すいーっと遥が顔をそむけた。

「沈黙が怖いわ!!」

すかさずこっちを向かせると、遥は口をとがらせながらしぶしぶ話し始めた。

「記事にはしないんだけど、シナリオの参考にしたくて・・・だって塁くんしか知らないし」

 塁くんしかというあたりに危うく気を良くし、そうか、ライターの彼女を持つということはこういうことなのかも・・・と一瞬納得しかけて我に返った。

「いやいやいや、ち〇この大きさが求められるシナリオって何?まさか真理先生の?」

「違うけど・・・」

溜息が出た。

「遥、怒らないからちゃんと説明しなさい。小学校の時からいつも言ってるだろ。人間には言語があるんだから、面倒くさくても説明しないと相手には伝わらないって」

「ほんとに怒らない?」

「内容によるけど、怒られるかもしれないことだって認識はしてるんだ?」

強面でそういうと、ほうっと一息つき、遥が視線をそらし面倒くさそうに口を開いた。



 遥の話はこうだった。

 家の関係で出費がかさむため、単価の高い仕事がないかエージェントに紹介を依頼したらしい。すると、手っ取り早く稼ぐなら、R18系のシナリオが高単価と言われそうだ。

「はー?書くの??」

 君たしかつい昨夜まで、鉄壁の処女だったはずだが。

「なんか、塁くんに協力してもらったらいけるんじゃないって気がして。でもそれ以前に、男性器の基本スペックがわかってないと応用きかないし、リアリティもないし」

「だ、だんせいき!?遥!そんな子に育てた覚えはありません!!!」

「塁くん、時々ほんとにおかんみたいだよ?」

「おかんは、男性器ぶらさげてないわ!!」

真面目にそう言うと、たまりかねたらしい遥が浴室に響く朗らかな声で笑いはじめた。

 すっかり毒気を抜かれた俺は、まずは遥をだっこしてしっかり温まることにしたのだった。



 ようやく遥の笑いの虫が収まったころ、あらためてどういうプランなのかを聞いてみた。百歩譲って俺の基本スペックや手癖、性癖はともかくとして、それを受けた遥の感覚までダイレクトに世に出るのはたまらん。

「もちろん、ちゃんと勉強もするし。ただ、見た感じどんな感触なのかとか、なすびなのかきゅうりなのかアスパラガスなのかとか」

「なんで野菜にたとえるんだ!!少なくもアスパラは細すぎる」

「でもポークピッツな人だっているんでしょ?塁くんのは普通の時でもシャウエッセンは超えてるし、そのあたりをもう少し詳しく」

好奇心と探求心に満ち溢れたキラキラした目で見られ、ちょっとめまいがした。

 遥の話によると、いわゆるAVみたいなものとは違うらしい。

 ある程度プロットが渡され、それをシナリオに落としていく。さらに男性声優さんが声をあて、音声作品あるいは動画にして販売するのだそうだ。

よくわからんけど、ようするにあれか、女性用のおかず的な

 こいつ自慰もしたことないのに、無謀すぎるだろう。それにそういうのって、強姦ものとか無理やり系とかも出てきそうで不安しかない。だがそこはちょっと言いにくい。

「んー・・・大体わかったけど、それってそもそも遥のシナリオで、女の子たちが抜けるようにしないといけないってことだろ。初心者にはハードル高いと思うぞ」

「でも、エージェントさんご推薦のサンプル聞いてたら、昨日塁くんが言ってたセリフと似てるなぁって思って。その・・・ちゃんと愛があるセリフだったら女の子うれしいと思う」

なぬっ、ちょっと頬を染めて下を向く遥の可愛さに一瞬ぐらっとしたが

「俺のはセリフじゃないっつーの!!ごまかされません!」

きっぱり言い切った俺を、遥はうらめしそうに無言で見返した。

が、さすがにこれは譲れない。しばらくのにらめっこの末、遥はふっと息を吐いた。

「はい。わかりました」

「よろしい」

「うん。こればかりは塁くんの協力がないと、一人では絶対無理だなってわかってたし」

それはそうだろう。ち〇こ測るくらいなら譲歩してもいいが、遥の経験値イコール俺だ。具体的な手管がわからなければ、ふんわりで乗り切れるわけではない。

かといって、よそで学習してくるとか斜め方向に行かれても困るが、そういうことは絶対しない子だとそこは信頼している。

「じゃあ、メジャーもしまっていいな」

「えー」

 だが遥は不満げにぶたの鼻メジャーを離さない。どうでもいいが何故このデザインなんだ。忌々しいブタめー・・・。ん?そうか。

「じゃあ測っていいよ。通常サイズは難しいけど、勃ってるとこならどうぞ」

そう言うと俺は立ち上がり、ギンギンにいきっているそれを遥の目の前に差し出した。

 遥は全く恥ずかしがることなく、嬉々としてブツブツ言いながら測っている。俺は暴発しないよう頭で念仏を唱えながらこの苦行の時を我慢した。まぁ写真撮らせろと言わないだけ良しとしよう。遥は人の気も知らず、ひとしきり観察してから測り終えると、

「ありがとう!塁くん」

と満面の笑顔で礼を言った。ふふふっこれで終わりだと思うなよ。

「じゃあ、次は俺にも遥のサイズ測らせてくれるよな」

ちょっと表現しがたい苦悶の表情でかたまった遥をさっさと洗い上げ、俺は遥をベッドに運ぶことにした。


 せっかくの機会と言えば機会。

 サイズさえわかれば、服だって下着だって指輪だって首輪だって買ってやれる。

 俺は、それから遥のサイズを測りまくり、ついでにちょっとしたお仕置きも兼ねて、メジャーを玩具に遥を感じさせることに熱中する。

 結果的に、ねちねちとしつこく遥を悶えさせてしまい、半泣きになった遥に力任せに俺のブツを握られ、変な悲鳴を上げるはめになった。

 


 後始末を終え、うつらうつらしかけている遥に、どうしても言っておきたかったことを伝える。

「遥、お金のことなんだけど、俺、遥が東京に帰ってからもちょくちょくここに泊まらせてほしいから、半分くらい負担させて・・」

「絶対ダメ」

ぱちりと目を開いた遥が、きっぱりとそう言った。まぁ遥の性格からしてそうだろうとは思ったけれど。

「絶対?」

「絶対!!じゃあ仮に塁くんちの会社が経営難になって、私がお金出すって言ったらどう?」

「・・・絶対ダメだ」

 的確に痛いところをついてくる。けれどその明確に引かれた線が今は少し寂しい。

「気持ちは本当にうれしいし、ありがたくもらう。でもお金はダメだよ。塁くんちょっと私に構いすぎ・・・って・・・もー、なんでそんな捨てられた犬みたいな顔してるの?」

困った顔で笑いながら遥が俺の頭をなでる。

「十分だよ。塁くんがこうして側にいてくれて、一生懸命甘やかしてくれて、いろんなことに手を貸してくれて、すごく嬉しい。けど、それを当たり前だと思いたくない。しばらくこの町に滞在する以上、なおさら堂々と立っていられる自分でいたいから」

 そうだ。遥の軸はあくまで東京で、ここに戻ると決めたわけでもない。その事実に、急に焦燥感が沸き上がってきた。

 遥のことを心から尊敬している。誇らしいと思っている。どうしようもなく魅かれる。いっそもう結婚しよう・・・と、言ってしまいたい・・・。

 けれど、今遥が頷くことはないだろう。

「うん。わかった。変なこといって悪かった」

 なるべく何でもない顔をして言ったけれど、遥はそんな俺の頭を抱え込み、ゆるゆると撫でる。情けない気持ちと心地よさにはさまれ、俺はゆっくりと眠りに落ちていった。

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