新春初笑い・『頂上漫才・”キリストVSブッダ”』

第1話

　　～♪お正月らしい出囃子…十字架を背負ったキリストと、数珠を持ち印を結び、お経を唱えているブッダの二人が、礼をしつつ現れる。　＜観客、爆笑しつつ拍手＞

キリスト（以下C）「え～あけましておめでとうございます。♪Wish you a Merry Christmas & Happy New Year ♪これはセットでございます。盆と正月…じゃなくて、I was born（盆ぼん！）to 12 25 ？　洒落が平凡（ぼん）すぎたね。てへべろ。（観客、笑う）」

ブッダ（以下B）「ボン、といえば仏教でも悟りの境地が”梵”やね。”オーム”とも言うね。麻原彰晃のオームなんたらは邪教やけどね。吉本隆明の推薦で極楽に来そうになったから、破門して吉本ごと門前払い食らわしたったわ。（笑い）「オームつかしい、おっさんや」とか言うて這（ほ）う這（ほ）うの体（てい）で逃げたけどね。あの布袋（ほてい）腹してな（笑い）」

C「Bon はイタリア語やフランス語では、「良い」ていう意味やね。”Bon apetit！（ボナペチ）” は、「召し上がれ」だし、ボナセラ、ボンジョルノっていうのがあいさつになってるしね。」

B「漫才だと、おぼん・こぼん？　コンビ仲が悪いんだってか？　わたしらもまあ終生のライバルで、不倶戴天の仇敵やな？　両雄並び立たず？　世界観も教義も全く異質やし、神仏習合なんてミョーなことできとるのは日本くらいやな？　ホンマは無宗教にしたいんやろなア（笑い）知らんけど（笑い）」　

C「最後、大阪のノリになったな（笑い）♪アホみたい～大阪ベイブルース～♪なんのこっちゃ（笑い）　アメリカでは「パーティーで政治と宗教の話はするな」っていうことわざあるけど、わたしら宗教の話せんかったらレーゾンデトル無いよな？　話題に窮してシュウキョウ狼狽してやないかん。キョウソ猫をかむ、みたいに漫才やらないかん（笑い）」

B「”周章狼狽”と”教祖”やろ？　それも言うなら（笑い）　キリストはんの本名はジーザス・クライストで、クライストは「救世主」ていう意味らしいね。おれは、ゴータマ・シッダルタ。ブッダはまあ称号で、覚者、悟りを開いた人、ていう意味やねん。菩提樹の木の下で瞑想していて「悟り」が訪れて…で、菩提樹（ぼだいじゅ）。”ブッダ”が訛ったんやね。まあそういういわれはきりがないなあ。おれはどんなけ偉大なんやろか（笑い）」

C「おれも、みんな驚いたり怒ったりすると「Oh! Jesus !」て、今だに言うもんな。没後2千年以上たつのに（笑い）」

B「だけど、宗教というのはつまり人間を幸福にするための考え方のお手本を示そうとするもので、もっとも尊い人類の文化遺産だよな。オレの発想の元は、生・老・病・死、それぞれに苦しむ人を見て、どうしたら彼らを救えるかを考えに考え詰めたんや。そうして、物事は移ろうもので、本質は空。その「無」と「空」を悟達するのが極意。般若心経はその教えをシンプルにまとめた、まあ、よくできたマニュアルやね」

C「歴史上ナンバーワン、不滅のベストセラーは、英米ではやっぱり「聖書」。まあ、おれの言行録やね。最近は無宗教の人も多いみたいやけど、やっぱり悩んでいる人は宗教に救いを求めるよな。たくさんの人が同じ宗教で救われてきたという歴史的な事実も”ご利益”の根拠になるとか…ポジティヴ思考のバックボーンにも信仰やら宗教はうってつけやしね。」

B「宗教と科学を止揚しようとしたユング博士も仏教には造詣深かったし、スティーブジョブズも般若心経が座右の書だったんや。古くて新しいんが宗教。とりわけ仏教だ！　仏教万歳！　佛佛と、闘志が湧いてきたぜ！」

C「それも言うなら”沸々と”やろ？（笑い）　しかしこの漫才は理屈っぽいなあ？　セントルイスみたいやな？　」

B「おれがツノ付けて”せんとくん”。で、キリストはんはルイスキャロルやな？」

C「なんでルイスキャロル？」

B「不思議の国の三月ウサギ」

C「そんな落ち、ありっすか？（笑い）」