第2話
入学式も終わり、無事同じクラスになることができた俺たちは昼休み、教室で机をくっつけて昼食をとっている。
「いやー、一緒のクラスになれて良かったな。」
『うん』
ちなみに言うと彰人の会話方法は基本的に文字だ。
この倉敷高校は俺たちの住む町にある唯一の高校で、中学校の知り合いも多く進学している。
中高一貫校と言うところが強いのだろう。
そいつらも彰人のことはよく理解してくれていて、変な陰口も言われていない。
噂に聞くと陰口を言っている人たちはちゃんと『お仕置き』されているのだとか。
感謝でしかない。
まぁ他の中学校だった生徒もいるわけだけど、そこは彰人自身も上手くやるだろう。
俺の役目は幼馴染の成長を陰ながら支えるだけだ。
俺たちが弁当箱を開けようとしたところで、ふと花の香りがする。
「翔真、今からお昼っしょ?うちらと一緒に食べん?」
「ん?俺は大丈夫だけど、彰人は?」
『大丈夫』
「良かったー。あ、ちなみにさっき友達になったななちも一緒だからねー。」
そう言って俺たちの机に自分ともう一つの机をくっつけてくるのは俺と彰人のもう一人の幼馴染である
こいつを一言で表すなら『オタクにも優しいギャル』である。
金髪(地毛)を腰まで伸ばした美女だ。
俺と彰人は理解できないが意外と人気らしい。
彰人を俺の次に理解してくれた奴でもある。
「ところでそのななちさん?はどこにいるんだ?」
「あれ?さっきまでうちの後ろにいたんだけど…。」
「もー!麗奈先輩早いっスよー!」
一人の少女がそう言いながら俺たちの方に顔を向ける。
そこでカチャンという音が彰人の方から、ドサッという音がその子の方からした。
どうやら彰人は箸を、その子は弁当を落としたらしい。
中身大丈夫かな…。
というよりも…。
「え、どういう状況?」
麗奈がそう言うが俺にもわからない。
なんで、
「な…な?」
「あき…くん?」
今知り合ったはずの二人がお互いにあだ名で呼び合ってるんだ?
外にはさっきまで快晴だった青空は見えず、一面分厚い雲の層で隠されていた。
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