神主学園に通うことになったので八百万の神様から力を貰って人類最強になりました。神様に高天原に来ないか誘われたけど僕はただの人間なので行きません〜
怠惰
エピローグ
ここは日本のとある神社
夜の空が異様な程に綺麗で星が生き生きとしていると感じられるような日にそいつは来た。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳
ザリッザリッ
どこかしら体を引きずっている音が聞こえる。
助けて…ただその一心でその場所へと向かう。
霞んできた視界ともたつく足取り。
しかし目的地へと確実に……
距離としては約10メートル。普通ならば一瞬だと思えるその距離が私には永遠のようにも思えた。
体中が痛い、今にも内臓が飛び出そうなほど体の中はボロボロだ。
はぁはぁやっと…着いた。
着いたのはこじんまりとした神社だった。
神社であれば…
天津人ならば!"アイツ"を殺してくれるかもしれない!そんな淡い期待を抱き歩みを進める。
私は無礼と知りつつも勝手に扉を開け中へと入っていく。
人の気配がある部屋まであと少し、これで私は…"私達"は助かる!
そう思うと同時に私は力尽き部屋の1歩前で倒れた。
ドスン!
「うっ!」
痛い…背中から転んだせいで体全体に響く。もうダメなのか?そう思っていた時幸いなことにこの音に気づいてくれた部屋の中の人物が扉を開けて私の姿を見る。
出てきた人物は人間離れした美しい顔の中性的な人物であった。
彼、彼女どちらかは分からないが彼女とでもシておこう。
彼女は初め怪訝な表情を浮かべていたが、私のことをよく見るなり急いで部屋に戻り水を持ってきてくれた。
「ほら、水だよ」
彼女の声は琴の音色のようで聞いていてとても心地が良くなる。
「…どうした?早く飲むんだ。」
いつのまにか彼女のことを見続けていたらしい
「あ……ありがとう、ございます」
ゴクッ……ゴクッ
…!美味しい。この水は甘露と言ってもいいほど甘く透き通った味がした。
「人を呼んで来よう。君はボクの部屋の中に入って休むんだよ。」
そう言い彼女は私を部屋へと入れてくれる。
「それじゃあ言ってくるよ。君達はここで安静にしているんだよ」
「まって!…」
私が次の言葉を紡ぐ前に彼女はどこかへ行ってしまった。
ダメだ!恐らく彼女は天津人ではなくその守る対象。
一般人並みの力しか持たない彼女ではアイツには勝てない!
ドゴンッ
いきなり部屋の外から破壊音が鳴り響く。
来た…!
私がそう思うがと同時に部屋の扉が吹き飛ぶ。
私は反射的に目を閉じてしまう。
「こんなところにいたとはなぁ〜、ったく時間かけさせんじゃねえよ!人間ごときがよぉ!」
目の前からカエルが轢かれた時の鳴き声のような気持ちが悪い声が聞こえてくる。
私は目を開けそいつの姿を確認する。
そいつは泥の塊に命を吹き込み動かせたような醜い怪物だった。
私達を追いかけてきたのだろう。
本当にしつこい。
すると目の前の怪物は悪臭を放ちながら私達を殺そうと近づいてくる。
私は逃げようとするが体はもう、動かない。
ヤバいこのままでは殺される。
あの人たちに託されたことも守れずに…
「お前らの逃走劇はここまでだ!ザンネンだったな」
怪物はそう言い泥のような手を鋭利な刃に変形させ振り下ろす。
あ………もうダメだ。
私がそう諦めた時
カキン!
甲高い音が鳴り響く。
私の前には先ほどの女性とは違う女性がいた。
「おい…そこの妖怪!アタシの神社を荒らすなんていい度胸じゃねぇか。その度胸に見込んでオマエの事を殺してやるよ…!」
彼女は大きな声でそう言い妖怪と対峙する。
彼女の獲物は刀、これで私のことを守ってくれたのだろう。
「おい…アタシがコイツを殺す…アンタは巻き込まれないように下がりな」
彼女は小さい声で私に言ってくれた。
私は黙って頷きボロボロの体を動かし部屋の外へと避難する。
「ほらこれでオマエとアタシのタイマンだ。精々アタシを楽しませてくれよ?」
彼女はそう言い妖怪との戦闘を開始する。
私はボロボロの体を動かし廊下を歩く…
しかし体は私の言うことを聞いてくれない。
いきなり私は足を滑らせ転びそうになる。
ギュッ
「おっと、大丈夫かい?」
転びそうになっていた私を初めに出会った彼女が受け止めてくれた。
「ありがとうございます。私は大丈夫です……。
それよりもあの人が……」
「…嘘おっしゃい。こんなにボロボロじゃないか。ほらもっとボクに近寄って。それに彼女は大丈夫さ。ほら見てご覧?」
そう言われ私は先ほどの部屋を振り返る。
そこで起こっていたのは…一方的な蹂躙だった。
「ね?言ったでしょ。彼女は君たちと同じ天津人でこの神社の神主さ。それも学園を飛び級で入学して首席で卒業した正真正銘の天才さ」
「え?どうして私達が天津人だと…」
「そりゃあ分かるよ。なんたってボクはこの神社に鎮座する神【
「え?天之御中主神様って古事記で…」
「おっとどうやら終わったようだね。」
そう彼女もとい
そちらを見ると息絶え消えているっている妖怪とこちらに向かってくる神主の女性が手を降っていた。
天之御中主神様が微笑み手を振り返している。
「ふいー、終わった終わった。」
「お疲れ様。茜…」
「本当だよ!神様は人使い荒れぇんだよ!」
「あはは、ごめんね?神はここでは弱いから君しか頼れる人がいないんだよ」
私が会話をポカンと聞いていると茜さんが私の方を向いてくる。
「そういえば自己紹介がまだだったな、私の名前は天河
私はそう聞かれ名前を言う。
「私の名前は…星時御
「星時御…。アンタら星時御家の人間か!」
「はい、妖怪達の百鬼夜行で襲われてもう無いですけど……」
「星時御家ほどの名家が……。悪い…嫌なことを聞いちまったな」
茜さんが謝罪をするが、私の家は星時御家の分家にあたり私は本家にあまり思い入れがないので全然問題ない。
「いえいえ、全然お気になさらず」
なので私は気にしていない事を伝える。
そこでしばらく黙りこくっていた天之御中主神様が口を開く。
「ねぇ煉歌君、君には行く当てはあるのかな?」
「いえ、私達の家はすでに無く親も百鬼夜行で亡くなっているのでありませんが…」
「そうかい……。もし君がいやで無ければここで暮らさないかい?もちろんいやならいやと言ってほしい。茜も問題ないだろ?」
「おう、助けるなら最後まで助けたいしな!」
私は1人と一柱の優しさに会い。思わず涙がでてきてしまう。
「うっ…ぐす。もちろん…貴方がたが嫌でなければお願いしたいです」
「よかった、決まりだね。」
良かった、本当に…よかった。これで私と…この子は助かる!私は安堵し緊張の糸が解けたことでだんだんと意識がなくなっていったのだった。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳
「よおし、それじゃあ夜も明けてきたことだし。妖怪に壊された場所を修復しよう……か?あれ煉歌君?お~い。だめだ寝ちゃってる。」
まぁ無理もないかまだ茜とそんな変わらない歳のようだし、安心して寝てしまったのだろう。
それに……ボクは煉歌君の腕の中にいる人物を見る。
そこには呑気に結界の中で寝ている5歳ぐらいの子どもがいる。
この子を1人で守り抜いたんだ、本当大したものだよ。
「なぁ神様、なんか煉歌の顔色悪くないか?病院連れてった方がいいんじゃねえか?」
「え?あ!本当だね。でも命の危険はなさそうだけど、一応病院に電話しておいて」
どうやらまだまだやることは多いらしい。
とりあえず
「我が家へようこそ、お二人さん」
ボクがそういうと結界の中にいる子どもが目を開きこちらを向いて笑った。
ふふふっ
これからは賑やかになりそうだ。
✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
こうして僕たちは天之御中主神様の庇護下に入ったという。
まったく記憶がないけどね!
神主学園に通うことになったので八百万の神様から力を貰って人類最強になりました。神様に高天原に来ないか誘われたけど僕はただの人間なので行きません〜 怠惰 @taida2434
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