最終話 高岡春香
夜、起きたら・・・一緒に寝てたママが居なかった。
いつもならママとパパがとなりにいてくれて…
怖い夢をみて起きちゃっても、いつもギュッてしてくれて、嬉しい気持ちにしてくれるのに。
しーんとした部屋のベッドの上で寂しくなって、そしたらテレビのあるお部屋からおっきな音がして。
行ってみたら・・・
パパとママが泣いてた。
きっとケンカしたんだって分かった。
いつも仲良しだったのに、何でケンカしてるんだろうって思って。
悲しくなっちゃって、涙が止まらなくなって。
なんか悲しいコトがあったのかなって。
ママとパパのところに行ったら、2人が泣きながら…ぎゅーってしてくれて。
ごめんね、ごめんねって。
何がごめんなのか…分からなかったけど…
でも仲直りしてくれたら、いいなって思った。
だけど、やっぱりその日からパパとママは少し変な感じになっちゃった。
3人一緒がいいのに、パパとママは離れているみたい。
だからワタシは前みたいになって欲しくて…
でもどうしたらいいのか、分からなくて。
パパもママも時々、すごく悲しそうな顔をする
それはすぐに分かるから・・・
ワタシも悲しくなっちゃいそうになる。
だからそんな時はパパとママを、ぎゅーってして元気を出させてあげる。
2人がワタシのコトを大好きなのは変わらないし、ワタシもママとパパのコトが大好き。
いつになったら元どおりになるのかなぁ。
ずっとそう思っていたら・・・
パパが帰って来ない日があって、ママが…夜こっそり泣いてた。
きっとママはワタシに気付いてなかったけど。
ママを泣かしちゃうパパはきらい。
でもパパも優しいのは知ってるから、本当はきらいになんかなれない。
明日はパパ早く帰ってくるといいなぁ。
そしたらママも元気になるかなぁ。
そう思いながら、いつの間にか寝ちゃってた。
次の日はパパは早く帰ってきてくれた。
でもいつもとちょっと違う。
ママと一緒に作ったオムライスを泣きながら食べてて、なんでかなぁって。
明日どっか行きたいトコある?って聞いてきてくれたから、ワタシは動物園がいいって。
前に水族館に行った時はパパもママも楽しくなさそうだったから、動物園だったらみんな楽しいかなって思ったの。
みんなで楽しいといいなぁ〜
でもパパは、なんかどっか遠くに行っちゃうみたいだった。
それはやだなぁって思って、だから明日はワタシがママとパパを楽しくしてあげようと思ったんだ。
動物園はすっごく楽しかった。
ママもパパも前に戻ったみたいで、ママの作ってくれたお弁当もすごく美味しくて。
いっぱい、いっぱいみんなで手を繋いで、すっごく嬉しくて。
きっとワタシは今日のコトは忘れないって思うんだ。
その日の帰り道、大好きなパパの背中で眠っていた時・・・
パパとママの話が聞こえちゃった。
これは怖い夢なんだって・・・
そう思って、ワタシはまた目を閉じた。
次に起きた時には、ママもパパも一緒に動物園で楽しかった時と同じで…良かったって。
でもやっぱり心配だったから、ワタシが良い子になればママもパパも、ずっと一緒にいれるかなって思って、嫌いな野菜も頑張って食べたの。
それからは、前よりもパパもママも仲良しで、ワタシはすごく嬉しかった。
なのに…なんでか分からないけれど・・・
ママとワタシはパパと離れ離れになっちゃうんだって。
あの時の怖い夢は本当だったんだって。
ワタシは悲しくて、涙が止まらなくなって、
ヤダ、ヤダって何度も言ったけど・・・
ダメだった。
パパは悪いコトしちゃったんだって。
ママも昔…春香が産まれる前、悪いコトしちゃったんだって・・・
だからダメなんだって。
ワタシは…パパとママが悪いコトしたからって許してあげるのに。
大好きなのに。
それから…
ママのじぃじとばぁばのお家に行って
ばぁばも…じぃじも…ママも…
みんな優しくて。
春香が寂しくないようにって、
いっぱい、いっぱい、あったかい気持ちにしてくれた。
離ればなれになっちゃったけど、パパも春香に何度も何度も会いに来てくれた。
好きな気持ちは伝わる。
きらいな気持ちと同じ。
パパと離ればなれになって、ワタシは5才になって、パパと会っている時に…
パパは寂しくないのかなって思って・・・
聞いてみた。
だってワタシには、ママも…ばぁばも…じぃじも居て、いっぱい好きをくれる人がいるけど…
パパの側には、いるのかなって?
もし居ないなら…悪いコトしちゃったのは、春香が許してあげるし、
ママはまだパパのコトを好きなのは知ってるから、
パパが、ママのコトが好きなら、また一緒に居たいなって。
パパは・・・
ママのコトが好きだって言ってくれた。
じゃあ、また一緒にって思って、
すごく嬉しかったのに・・・
パパはママと春香と同じくらいに好きな人が出来たんだって・・・言った。
ワタシでも分かる。
そしたらワタシとママは…パパと一緒に居ちゃダメなんだって。
もうパパと会っちゃダメなのかなって思って、
もうパパはワタシのパパじゃなくなっちゃうのかなって思って、
すごく悲しくて・・・
パパはギュッとしてくれて・・・
パパがワタシのコトも好きな気持ちは…
伝わってきて…
なのに一緒に居れないのは…ツラくて…悲しい
おウチに帰ると、ずっとママが何も聞かずに
ワタシの頭を撫でてくれた。
それはすごく優しくて…ふわふわして…
すごく心が落ち着く…
「ねぇ…春香?ママのお話しを…ちょっと聞いて…くれる?」
ママがそう言って、なんとなく悲しいお話なんだろうなって分かったけど・・・
きっとちゃんと聞かなきゃダメなんだろうなって分かるから、うんって頷いた。
ママは・・・パパの好きな人はママが傷つけちゃった人なんだって言っていた。
その人がパパを助けてくれたんだって。
だから許してあげてって・・・
やっぱりあの時・・・ママもパパも悲しかったんだなって。
ワタシはママに…
その子に会いたいってお願いしてみた。
ちゃんとお礼を言って、そのあと…お願いしてみようって思って…
ワタシもママも…パパに会っていい?って
一緒に居れなくても…
やっぱりパパに…ママと一緒に会いたかったから。
会う前にママがその子の名前を教えてくれた。
真冬ちゃんっていうんだって。
ワタシは真冬ちゃんにお礼を言って…
それから…泣いちゃったけど・・・
頑張ってお願いしてみた。
真冬ちゃんは…泣きながら、うんって言ってくれて…
ワタシはありがとうって、ぎゅーってした。
そしたら、
真冬ちゃんもぎゅーってしてくれて…
真冬ちゃんから、好きって気持ちが伝わってきて・・・
なんでか分からないけど…涙が止まらなくなっちゃって・・・
みんなで一緒に泣いちゃって。
でも泣き終わったら、みんなでケーキを食べて、久しぶりにママとパパと一緒に食べれるのが、とっても嬉しかった。
それから…ママも真冬ちゃんも一緒に会うようになって・・・
いっぱい、いっぱい、みんなが、
ワタシに好きって気持ちをくれたんだ。
ーーーーーーーーーーーー
今日は毎年行ってる、わたしが大好きな公園にみんなで行く。
ママは鮭とおかかのおにぎりをたくさん作ってくれて、
真冬ちゃんはサンドイッチをいっぱい作ったんだって、
そういえば、わたしはお姉ちゃんになったんだよ。
大好きなママはずっと、わたしのママ。
真冬ちゃんはわたしのお姉ちゃん。
わたしのパパは…変わらずにパパなの。
そしてねっ、
秋穂ちゃんはわたしの大事な妹っ!
今度はわたしが、秋穂ちゃんに・・・
い〜〜っぱい、愛をあげるんだっ!!
***************
これにて、完結となります。
最後までお付き合い頂き、本当に、本当に、
感謝申し上げます。
ありがとうございました。
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