ツンデレちゃんはオタクがキライ

和泉歌夜(いづみ かや)

本編

この作品はツンデレちゃんの一人称視点と心情を楽しむ話です。


例 これ美味しいね!

  (何これ、クソマズイ)


こんな感じで分けて書いていきます。


#1


 ねぇ、あんたさぁ、そんなにニヤニヤしてて何見てんの?


 『魔法ガールズ』に出てくるキャーティって子が好きなの?


 へぇ、ふーん、ポニーテールみたいな髪型が好きなんだね。やっぱ。


 え? いや、前に見てたキャラも同じ髪型だったな……って。いや、あんたがいつも気持ち悪い顔をしているから印象に残っているだけだから。


 それじゃあね。オタクくん。少しは現実の女の子も見た方がいいよ。でないと、一生独りぼっちかもね〜!


(はぁ、また嫌な感じで声をかけちゃった。しかも心にも思っていない事も……でも、無視とかされてないから大丈夫かな。

でも、あんな感じだとリアル女子には興味なさそう……よし、だったら、私が近づけてあげよう。

えーと、『魔法ガールズ』のキャーティっていう子は……こんな派手な格好は校則違反だけど、髪型だったらいける)


#2


 うわぁ、まーた気持ち悪い顔して……また、その、推しを眺めて楽しんでるの?


 え? 髪型? あー、イメチェン。いつも長く伸ばしているからさ、たまには良いかなと思って。


 あ、似合う? 別にあんたに言われても嬉しくないけど。


 で、何熱狂してるの。コミケ? あー、なんか聞いたことあるけど、全然興味ないからなぁ……で、それがどうしたの?


 ふーん、行くんだぁ。そんなところ行って、何が楽しいの? 私には全然分かんないや。


 じゃあ、私、用があるから行くね。あんたとは違って予定がいっぱいなの。


(よしっ、ポニーテール、気づいてくれたぁっ! あと、似合うって……アハハハッ! 嬉しい……。

コミケかぁ。人が多すぎて苦手なんだけど。彼が行くなら行ってみようかな。でも、もし鉢合わせしたら気まずいし……そうだ。確かコスプレイヤーも参加するんだっけ。彼の好きなキャラ……キャーティに成り切って彼を魅了させてやろう!)


#3


 き、キラッ☆ 夢にときめ……えっと、私達の……なんだっけ。


(あぁ、どうしよう。死ぬほど恥ずかしくて、全然成りきれてない。容姿はかなり似せて来て、アニメを一気見して頭に入れたけど……あ、彼がいたっ! こっち見てる!)


 き、きらららら〜〜☆ 夢にときめけ! 宇宙の彼方まで☆


 スーパーシャイニングギャラクティック・キャーティ! ここに参上☆


(や、やった……やりきった。大勢のオタクの前だと羞恥心でいっぱいだった私の心が彼を前にした途端、急に力が湧いてきてスムーズにキャラになりきれた。

彼は……もういないか。うわぁ、すごい人が集まってきちゃった。ここは適当にポーズを取って帰ろう)


#4


 おっす、オタク。相変わらず、気持ち悪い顔で画面見てるね。


 何をそんなに……あ。


 誰、この子。なんか、あの……アレにそっくりだね。えっと、誰だっけ?


 キャンディ? あ、そうそう! キャーティだ!


 その子の……コスプレ?している写真を撮ったの? 昨日のコミケで?


 で、どうだった? なんでって……いいから、教えろっ!


 うんうん……とてもそっくりで、可愛かったと……なるほど。


 ちなみに、あんたは現実の女の子とコスプレしている女の子だったらどっちがいい?


 え? 自分は現実の子に好かれないから諦めてる?


 ふーん、そっか。そういう考え方だと、大事なことを見落とす気がするよ。じゃあ、帰るね。またね、オタク。


(ふぉおおおおおおお!!! しゃぁああああああああ!!! 私のコスプレ、ホーム画面にしてるぅうううううう!!!

やった! やった! やった! やって良かった!

人生で一番嬉しい! しゃあっ!

あー、もしあの格好で告白したら付き合ってくれるかな。

でも、それだと『キャーティ』からの告白をオーケーしたことになるのかな。もし、私が告白したら彼は……いや、止めておこう。

最悪な事を考えたら、胸が痛くなる)


#5


 やっほ〜、オタクく〜ん。今日はキモい笑顔はないんだね。


 え? SNSを使って彼女を募集してるの?


 ……え? なんで? なんでそんなこと……えっと、無意味だから止めた方がいいよ。あんたみたいな根暗ボッチなんかが募集した所で誰も彼女になりたいなんて思わないよ。


 それになにこれ。一丁前に加工アプリなんか使って。もしオタクを美男子と勘違いして対面した時、思っていたのと違うと言われたらどうするの?


 え? 怒っている? いや、はぁ、呆れているだけ。オタクはオタクらしくひっそりと画面を見てニヤついてなさい。


 はぁ? 他のオタクはこれを使って彼女を作った?


 知るかっ! よそはよそっ! あんたはあんたよ!


 そんなに彼女が欲しいのなら……わ、わ、う、む、グムムムム、勝手に失恋して泣きわめけっ! じゃあねっ!


(はぁ、もうマジ最悪。あなたの事が好きな人が目の前にいるのにどうして気づかないの?

もしかして、私ってそういう風には見られてない? だとしたら、けっこうショック……もしかして私がこの前『もう少し現実を見なさい』とか言ったから、それに感化されて……。

だとしたら、私のせいじゃん。

でも、今さら止めろとは言えないし……そうだ。

だったら、私が先に取ればいいじゃん。よし、キャーティのコスプレの画像をアイコンにして……確か彼のアカウント……見っけ。

あとは好意的なコメントをぶつければ……よしよし、この調子でデートまでこじつけてやる!)


#6


 やっほ〜、オ・タ・ク!


 え? なんで、こんな所にいるのかって?


 あんたが探してる『激似キャーティちゃん』っていうユーザー……私だから。


 嘘だと思うのなら、ほら、どう? 本物でしょ。


 ちなみにあんたが待ち受けにしているキャーティのコスプレも私だから。


 どう? ガッカリした?


 ……私が? あんたの事を好き?


 ん……なわけないでしょうがっ! 馬鹿っ!


 ほら、そんな妄想は止めて、行くよ!


 えっと、『魔法ガール』の限定フィギュア、一緒に買いに行くんでしょ?


 私じゃ不満? うん、よろしい。


 それじゃあ、オタク臭い所にレッツゴーー!!


(言語化不可能な箇所が多かったが、これだけは聞き取れた。


最高に幸せ♡)



 

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ツンデレちゃんはオタクがキライ 和泉歌夜(いづみ かや) @mayonakanouta

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