第二犯 口づけダイヤモンド

「何だあああああああああああああああああああああ‼ あの様はああああああああああああああああああああああああああ‼」

「すみません、天使長!」

 殺戮天使キラララ‼ は殺戮天使長オラララ‼ に謝罪する。腰を振りながら。

「新潟市西区の担当は誰だああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「私でございます‼」

「だよなあああああああああああああああああああああああああああああ‼ 何だあああああああああああああああああああああああああ‼ あの様はああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「すみません、天使長!」

 天使長がブチ切れていて話が一向に進まないが、つまり

「担当区域から、殺戮者を出した、私はメス豚天使キラララ‼ でえええええええええええええええええええええええす‼」

「だよなあああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 という訳だ。


「という風に天使長に怒られてしまうかもしれませんから、殺陣寺さんには今後」

「うわ! ビックリした! 上の奴お前の妄想かよ!」

「妄想じゃないです! 限りなく現実に肉薄させたエロ同人誌です! まだ私の頭の中にしかありませんが?」

「何その『読みたいですか?』『欲しいですか?』みたいな言い方。創作素人に多い思い上がりだな」

「失敬な! 私はめちゃくちゃ創作しますよ! 今は剣と魔法の世界で魔法を使えない魔法使いが」

「創作素人が最初に行き着く冒険ファンタジーに興味ねえよ!」

「勇者ゲロイボと魔法使いテレクスリーナが始まりの町スタンクリスを旅立ち」

「ゴミみたいな設定を語るな‼ 百番煎じなんだよ‼」

「終わりの魔法スタンマリアを」

「始まりの町スタンクリスと掛けるな‼ 妙に凝ってるな、小賢しい‼」

「飛べない飛龍ガガルキアを」

「飛べない飛龍とか魔法使えない魔法使いとか、コテコテな異質感を多用するな‼」

「飛行魔法ギギマキアを」

「もう飛龍要らねえじゃねえか‼ 飛べる魔法あるじゃねえか‼」

「天空都市ググマリアを」

「ガガ、ギギ、ググ‼ マリアさっきも出たぞ⁉」

「終わりを告げる魔王ゲゲゴゴを」

「終わり系多いな‼ ゲゲとゴゴを同時に消費するな‼ 分けろよ‼」

 殺陣寺くんがロジハラを繰り返すものだから、キラララ‼ は

「じゃあ殺陣寺くんが描けば⁉」

 とりんごさんみたいないじけ方をしてしまう。

「描かねえよ‼ 描いたらお前みたいな創作素人弄れなくなるだろ‼」

 そう、殺陣寺くんのような漫画読みは描きたい訳ではない。高みから創作素人をコケにしたいだけの、何も出来ない何もしない評論家気取りの愚者なのだ。そして彼自身もそれを自覚しており、その上で創作素人を食い物にしているのだ。

「俺達は創作したいんじゃない‼ 創作素人を食い物にして愉しみたいだけなんだ‼」

「最低じゃないですか、それ」

「ああ、最低だ‼ しかし、それでいいんだ‼ 俺らはペン一つでいくつもの異世界を形成するなんて神みたいなことは出来ない‼ スマホ一つで創作素人を食らい、仮初の『神殺し』をしたいだけなんだ‼」

 そう、殺陣寺くんのような輩は決して矢面に立たず、立った人間に場外から野次を飛ばすだけだ。だって立ったら、自分が矢を受ける側になるではないか。それは辛いから面白くない。

「でも、闇バイトの人達は殺戮しましたよね?」

「ああ、ムカつくからな」

「今私がムカつくのは貴男ですが」

「うっせ」

 殺陣寺くんはキラララ‼ の可愛らしい唇を奪い、今ある分の負債を一斉完済した。

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